公開日: 2026年04月10日

最終更新日: 2026年04月10日

オフィスの増床・縮小タイミングの判断基準|在席率・稼働率・コストで見極める方法

オフィスの増床・縮小を検討するビジネスパーソンのイメージ

※本記事は賃貸オフィス実務16年・累計1,000件以上の契約実績を持つ専門家が監修しています。

本記事は、オフィスの増床・縮小を検討している企業の経営者・総務担当者向けに、判断基準となる数値指標と意思決定の考え方を実務ベースで解説しています。

在席率60%超増床検討の目安となる水準
在席率40%未満縮小検討の目安となる水準
6か月前増床・縮小の準備開始タイミング
📋 この記事でわかること
  • 増床・縮小それぞれを判断する具体的な数値指標(在席率・稼働率・坪単価)
  • テレワーク導入後の面積見直しの考え方
  • 増床・縮小それぞれのリスクと失敗パターン
  • 判断を誤ったときの対処法と出口戦略

判断に使う3つの数値指標

増床・縮小の判断を「なんとなく手狭になってきた」「最近空席が目立つ」という感覚だけで行うと、過大投資や固定費の肥大化につながるリスクがあります。オフィサイトの仲介実務でも、数値根拠なしに増床し、数年後に縮小移転を余儀なくされた事例を複数経験しています。まず以下の3つの指標を定期的に計測することが重要です。

指標計算方法増床の目安縮小の目安
在席率ある時点の在席人数 ÷ 総席数 × 10060〜70%超が続く40%未満が続く
会議室稼働率会議室の使用時間 ÷ 総利用可能時間 × 10080%超が常態化30%未満が続く
1人あたり坪数総賃貸面積(坪)÷ 在籍人数1.5坪未満になる3坪超が続く
💡
在席率・会議室稼働率は週1回・月1回など定期的に計測し、3か月以上の傾向で判断することが重要です。繁忙期・閑散期の一時的な変動で判断すると誤った意思決定につながるケースがあります。
在席率による増床・縮小の判断ゾーン 縮小検討ゾーン 在席率 40%未満 様子見ゾーン 在席率 40〜60% 適正ゾーン 在席率 60〜70% 増床検討ゾーン 在席率 70%超 0% 40% 60% 70% 100% ※あくまで目安です。業種・働き方・レイアウトにより適正値は異なります
▲ 在席率による増床・縮小の判断ゾーンの目安

増床を検討すべきシグナル

以下のシグナルが複数重なっている場合、増床または移転を検討するタイミングと考えられます。ただし一時的な繁忙・採用計画の未確定段階では判断を急がないことも重要です。

シグナル内容判断のポイント
在席率が70%超ほぼ常時席が埋まっており、来客・新入社員の席確保が困難3か月以上継続しているか
会議室の予約が取れない稼働率80%超が常態化し、商談・社内MTGに支障が出ている代替手段(外部会議室)でのコストが月数万円超か
採用計画との乖離6か月以内に20%以上の人員増が確定している採用確度・入社時期の精度を確認
執務環境の質低下騒音・空調・通路幅の問題が社員満足度に影響している定期サーベイの結果を確認

増床に向けた物件探しは、現オフィスの解約予告期間(通常6か月)を考慮した早めの準備が重要です。現在の候補物件を確認したい方はこちらから。

公開中のオフィス物件を確認する(無料)

縮小を検討すべきシグナル

縮小(ダウンサイジング)はコスト削減の観点から有効な選択肢ですが、タイミングを誤ると人材採用・社員満足度・企業イメージに悪影響を与えるリスクもあります。以下のシグナルを複合的に判断してください。

シグナル内容判断のポイント
在席率が40%未満常時半分以上の席が空いており、賃料の無駄が大きいテレワーク定着後の数値か・季節変動ではないか
固定費の賃料比率が高い月次売上に占める賃料比率が10〜15%を超えている業種・成長フェーズによる適正値を確認
人員減少が確定している事業縮小・部門移管・希望退職等で在籍人数の大幅減が見込まれる減少規模・時期の確度を確認
契約更新が近い次回更新タイミングで面積・賃料の見直しが可能解約予告期間・原状回復費用を試算済みか
宅地建物取引士のコメント

縮小移転で最も多い失敗は「縮小しすぎて半年後に再拡張が必要になった」ケースです。テレワーク定着直後の在席率は一時的に低くなることが多く、その数値だけで判断すると過度な縮小につながります。少なくとも6か月〜1年の在席率推移を確認してから判断することを当社では推奨しています。

テレワーク導入後の面積見直し

コロナ禍以降、多くの企業がテレワークを継続的に運用しており、オフィスの適正面積は「全員出社前提」から「出社率に応じた設計」へと変化しています。テレワーク導入後の面積見直しでは、以下の考え方が参考になります。

出社率ベースの面積設計

週3日出社・週2日在宅という運用であれば、理論上は全員分の席が不要になります。ただし「全員が同じ曜日に出社する」リスクを考慮し、ピーク出社率の1.1〜1.2倍程度の席数を確保するのが実務上の目安です(物件・条件により異なります)。

出社率必要席数の目安(100名の場合)必要面積の目安(1人1.5坪換算)
週5日(全員出社)100席約150坪
週4日(出社率80%)88〜96席約132〜144坪
週3日(出社率60%)66〜72席約99〜108坪
週2日(出社率40%)44〜48席約66〜72坪
⚠️
テレワーク運用が定着していても、採用活動・来客対応・チームMTGのためにある程度のスペースは必要です。また将来の採用拡大・事業拡張を見越した余白も考慮してください。過度な縮小は将来の拡張コストを増大させるリスクがあります。

増床・縮小それぞれの失敗パターン

増床の失敗パターン

  • 採用計画が未達のまま広いオフィスに移転:空席だらけのオフィスで固定費だけが増大する
  • 一時的な繁忙期の在席率で判断:閑散期に戻ると過剰スペースになる
  • グレードアップしすぎて賃料負担が重くなる:「せっかく移転するなら」と予算を超えたビルを選んでしまう
  • 解約予告期間を考慮せず急いで移転:旧オフィスの賃料と新オフィスの賃料が重複する期間が発生する

縮小の失敗パターン

  • 縮小しすぎて採用活動に支障が出る:狭いオフィスが求職者へのマイナスイメージになる
  • 在宅率が戻り、席が足りなくなる:テレワーク縮小・出社義務化で再拡張が必要になる
  • 原状回復費用を見落とす:退去時の原状回復費が予想を大幅に超え、縮小効果が薄れる。原状回復の判断基準はこちら
  • 中途解約違約金を把握せずに退去:契約期間途中の退去で多額の違約金が発生する

意思決定のフローと準備スケジュール

増床・縮小の意思決定から実行までには通常6〜12か月かかります。物件の解約予告期間(多くは6か月前通知)や内装工事期間を考慮したスケジュールを立てることが重要です。移転方法の詳細についてはオフィス面積と移転タイミングの詳細解説もあわせてご参照ください。

フェーズ内容目安期間
① 数値収集・分析在席率・稼働率・賃料比率を3か月以上計測・分析する〜6か月前
② 方針決定増床・縮小・現状維持のいずれかを経営レベルで決定する6か月前
③ 物件探し・交渉候補物件のリストアップ・内見・条件交渉を行う4〜5か月前
④ 解約予告・契約現オフィスの解約予告(6か月前が多い)・新物件の契約締結3〜4か月前
⑤ 工事・準備内装工事・什器手配・ITインフラ整備を行う1〜2か月前
⑥ 移転・原状回復引越し・旧オフィスの原状回復工事を実施する移転日前後

よくある質問

在席率はどうやって計測すればよいですか?
最もシンプルな方法は、週に数回・決まった時間帯(例:午前10時・午後2時)に在席人数を目視カウントする方法です。より精度を上げるには、入退館システム・座席予約システム・WiFi接続端末数などのデータを活用する方法があります。重要なのは同じ条件・時間帯で継続計測し、3か月以上の傾向を把握することです。
テレワーク中の社員を含めた「在籍人数」で計算すべきですか?
在席率の計算では「在籍人数」ではなく「実際に出社している人数」を使います。テレワーク社員はカウントしません。一方、面積設計では「最大ピーク出社人数」を基準にすることが重要です。全社員がテレワーク不可の日・全社会議の日など、最も出社人数が多い状況を想定して席数を設計してください。
縮小移転の場合、原状回復費用はどのくらいかかりますか?
原状回復費用は物件の状態・契約内容・入居年数によって大きく異なります。一般的な目安として坪あたり3〜10万円程度かかるケースがありますが、スケルトン戻し義務がある場合はさらに高額になることがあります。縮小移転を検討する際は必ず事前に原状回復費用を試算し、縮小で削減できる賃料との収支を比較してください。詳しくは原状回復の判断基準をご参照ください。
契約期間中に縮小したい場合、中途解約はできますか?
賃貸借契約の中途解約は、契約書に定められた解約予告期間(通常3〜6か月前の通知)と、場合によっては違約金の支払いが必要です。契約期間が定められている場合(定期借家契約等)は原則として期間満了まで解約できないケースもあります。縮小を検討し始めたら、まず現在の契約書の解約条項を確認することが第一歩です。
増床せずに現オフィスのレイアウト変更で対応できますか?
フリーアドレス化・デスク配置の最適化・会議室の一部を執務スペースに転用するなど、レイアウト変更で一定の収容人数を増やせるケースがあります。ただし限界があり、在席率が80%を超えている場合は根本的な解決にはならないことが多いです。まずレイアウト改善で短期的に対応しながら、並行して増床・移転の準備を進める戦略が現実的なケースもあります。
増床・縮小どちらを選ぶか迷っています。判断の優先順位は?
まず「3か月以上の在席率トレンド」を確認することを優先してください。次に「今後12か月の採用・退職計画」を人事と確認し、在籍人数の増減見込みを把握します。この2つが揃えば、増床・縮小・現状維持のいずれが適切かがほぼ判断できます。どちらか迷う場合は「次の契約更新まで現状維持し、数値を蓄積してから判断する」選択肢も有効です。
サテライトオフィスの活用で増床を回避できますか?
可能なケースがあります。全員が毎日本社に出社するわけではない場合、サテライトオフィスや共用ワークスペースを組み合わせることで、大規模な増床を回避できるケースがあります。ただし管理コスト・セキュリティ・コミュニケーション品質の面でデメリットもあるため、本社オフィスを増床する場合との総コストを比較して判断することをお勧めします。

増床・縮小の判断から物件選びまでサポート

在席率・賃料・採用計画を踏まえた最適なオフィス面積のご提案と、増床・縮小それぞれに対応した物件探しを経験豊富なスタッフがお手伝いします。

無料相談はこちら(無料)

📎 参考・出典元

情報源資料・根拠
国土交通省不動産市場動向調査(オフィス市場)オフィス面積・賃料水準の市況参考データとして参照
オフィサイト仲介実績増床・縮小移転の事例・在席率基準に関する社内調査・実務経験(目安)

おすすめ記事

オフィス賃料交渉のタイミングはいつ?更新前・空室増加時の動き方を解説

オフィス賃料交渉のタイミングはいつ?更新前・空室増加時の動き方を解説

賃料交渉はタイミングが成否を分けます。更新前・空室増加時など有利な時期の見極め方から、交渉材料の作り方・NG行動・フリーレントを含む総合交渉まで解説します。

公開日: 2026年04月10日

最終更新日: 2026年04月10日

コワーキングスペースとオフィスの使い分け|費用・用途・選び方の判断基準

コワーキングスペースとオフィスの使い分け|費用・用途・選び方の判断基準

コワーキングと賃貸オフィスは人数・用途・成長フェーズで選び方が変わります。費用比較・併用の考え方・移行タイミングの目安を判断フロー付きで解説します。

公開日: 2026年04月10日

最終更新日: 2026年04月10日

オフィスの光熱費込み物件とは|実質コストの計算方法と契約前の注意点

オフィスの光熱費込み物件とは|実質コストの計算方法と契約前の注意点

光熱費込み物件は月額固定で予算管理しやすい一方、上限超過条項など落とし穴もあります。実質コスト比較の方法と契約前の確認ポイントをチェックリスト付きで解説します。

公開日: 2026年04月10日

最終更新日: 2026年04月10日

フリーレントとは何か?仕組み・相場・スライド返還条項・会計処理の注意点を解説

フリーレントとは何か?仕組み・相場・スライド返還条項・会計処理の注意点を解説

フリーレントの仕組みと期間相場から、スライド返還条項の落とし穴・会計処理の注意点まで解説。契約前に必ず確認すべきポイントをチェックリスト付きで紹介します。

公開日: 2026年04月10日

最終更新日: 2026年04月10日

オフィス移転資金の調達方法|中小企業向けに融資・補助金・リースを比較

オフィス移転資金の調達方法|中小企業向けに融資・補助金・リースを比較

オフィス移転の資金調達は3〜6か月前からの準備が重要です。融資・補助金・リース・自己資金の使い分けと、初期費用を抑える物件選びの工夫をチェックリスト付きで解説し…

公開日: 2026年04月10日

最終更新日: 2026年04月10日

オフィス移転後の社員定着率を上げる方法|環境整備と満足度向上の実践策

オフィス移転後の社員定着率を上げる方法|環境整備と満足度向上の実践策

オフィス移転後に社員が離職しやすい理由と、移転前・直後・3か月後の3フェーズ別対策を解説。通勤負担の軽減・環境整備・コミュニケーション設計・満足度調査の方法まで…

公開日: 2026年04月10日

最終更新日: 2026年04月10日

東京主要エリア一覧

LINEで
相談