公開日: 2026年04月14日

最終更新日: 2026年04月14日

賃貸オフィスの消防法対応|消防検査・届出・防火管理者の選任手続きを解説

賃貸オフィスの消防法対応・消防検査のイメージ

※本記事は賃貸オフィス実務16年・累計1,000件以上の契約実績を持つ専門家が監修しています。

「オフィスに入居したが消防関係の手続きが何が必要か分からない」「消防検査とは何をするのか」——そうお感じの経営者・総務担当者・施設管理担当者向けに、賃貸オフィスにおける消防法の手続き実務を解説します。本記事の内容は参考情報です。具体的な対応は管轄消防署・専門家にご確認ください。

防火管理者収容人員30人以上で選任義務が生じるケースが多い
消防計画防火管理者が作成し消防署に届出が必要
消防用設備点検6か月・1年ごとの定期点検が義務
📋 この記事でわかること
  • 賃貸オフィスで必要な消防法上の手続き一覧
  • 防火管理者の選任・資格取得・届出の手順
  • 消防計画の作成・変更・届出の進め方
  • 消防用設備点検の種類・頻度・費用の目安
  • 内装工事・移転時の消防検査の流れ
  • テナントとビル側の消防法上の責任の分担

賃貸オフィスの消防法手続き一覧

賃貸オフィスに入居する企業が対応すべき消防法上の主な手続きは以下の通りです。いずれも義務の有無・内容は建物の用途・収容人員・規模により異なります。必ず管轄消防署に確認してください。

手続き主な対象タイミング届出先
防火管理者の選任届収容人員30人以上(テナント単位)が目安選任後速やかに管轄消防署
消防計画の作成・提出防火管理者の選任義務がある事業所選任後速やかに管轄消防署
消防用設備の点検・報告原則すべての事業所6か月・1年ごと(定期)管轄消防署(報告)
内装工事着工届一定規模以上の内装工事を行う場合工事着工前管轄消防署
消防検査の受検新築・大規模改修・用途変更等工事完了後管轄消防署

※上記は概要です。義務の有無・手続き内容は建物・収容人員・工事規模等により大きく異なります。管轄消防署に確認してください。

防火管理者の選任・資格・届出手順

防火管理者とは、消防計画の作成・避難訓練の実施・消防用設備の維持管理など、事業所の防火管理業務を担う責任者です。消防法上、収容人員が一定数以上の事業所では選任が義務付けられています

防火管理者が必要なケース(目安)

建物の用途収容人員の目安必要な資格
オフィスビル(非特定防火対象物)50人以上甲種または乙種防火管理者
複合用途ビルの一部テナントテナント単位で30人以上が目安甲種または乙種防火管理者

※収容人員の計算方法・義務の範囲は建物の用途・規模により異なります。管轄消防署に確認してください。

防火管理者資格の取得方法

資格種別講習時間対象建物受講先
甲種防火管理者2日間(約10時間)大規模建物・特定用途各都道府県の消防設備協会等
乙種防火管理者1日間(約5時間)小規模建物各都道府県の消防設備協会等

選任届の提出手順

1
防火管理者講習を受講・修了証を取得する
社内の候補者が甲種または乙種の講習を受講する。講習は各都道府県の消防設備協会等が定期開催している
2
「防火管理者選任(解任)届出書」を記入する
消防署の窓口またはウェブサイトから書式を入手し、必要事項を記入する
3
管轄消防署に届出書・修了証の写しを提出する
持参または郵送で管轄消防署に提出する。電子申請に対応している消防署もある
4
消防計画の作成・提出に進む
選任届の提出後、消防計画を作成して消防署に届出する(次セクション参照)

消防計画の作成と届出

消防計画とは、火災・地震等の災害時における避難・消火・通報の手順を定めた計画書です。防火管理者が作成し、管轄消防署に届け出ることが義務付けられています。

消防計画に記載すべき主な内容

  • 防火管理者の氏名・役職
  • 自衛消防組織・役割分担(通報係・消火係・避難誘導係等)
  • 避難経路・避難方法
  • 消防用設備の点検・維持管理の方法
  • 避難訓練の実施計画(頻度・方法)
  • 火気使用・危険物取扱いに関する注意事項
変更時の届出 消防計画は、防火管理者の交代・組織変更・移転・レイアウト変更等があった場合に内容を更新し、変更届を提出する必要があります。更新を怠ると法令違反になる可能性があります。

消防用設備点検の種類・頻度・費用

消防用設備(消火器・自動火災報知設備・誘導灯等)は、消防法に基づき定期的な点検・消防署への報告が義務付けられています。

点検の種類頻度内容実施者
機器点検6か月ごと消防用設備の外観・機能確認消防設備士または消防設備点検資格者
総合点検1年ごと設備の全体的な作動確認(実際に作動させて確認)消防設備士または消防設備点検資格者
点検結果の報告特定用途:1年ごと/非特定用途:3年ごと点検結果を消防署に報告書として提出防火管理者(報告義務者)

点検費用の目安(参考)

規模年間費用目安備考
小規模オフィス(〜30坪)3〜8万円/年程度設備の種類・数量による
中規模オフィス(30〜100坪)8〜20万円/年程度スプリンクラー等の有無で変動
大規模オフィス(100坪以上)20万円〜設備構成・フロア数による

※上記は当社仲介実績ベースの参考目安であり、法定基準ではありません。実際の費用は設備構成・業者により大きく異なります。

⚠️
賃貸オフィスでは消防用設備の点検費用をテナントが負担するケースとビル側が負担するケースがあります。入居前に管理会社・賃貸借契約書で費用負担の区分を確認してください。

内装工事・移転時の消防検査の流れ

内装工事を伴う入居・移転の場合、工事内容によっては消防署への事前届出・工事完了後の消防検査が必要になります。

消防検査が必要になるケース

  • 新築ビルに初めて入居する場合
  • 防火区画・スプリンクラー・自動火災報知設備等に影響する工事を行う場合
  • 建物の用途を変更する場合
  • 一定規模以上の内装工事を行う場合
1
工事着工前に消防署へ「工事整備対象設備等着工届」を提出
消防設備士が工事を行う場合、着工10日前までに届出が必要(消防法第17条の14)
2
工事中:消防設備の設置・変更工事を実施
ビル指定業者(B工事)が施工。施工中の中間確認が必要な場合がある
3
工事完了後:消防検査の申請
「消防用設備等設置届出書」を提出し、消防署による検査を受ける
4
検査合格・完了証明書の受領
検査に合格すると「検査済証」が交付される。不合格の場合は是正工事が必要
💡
消防検査のスケジュールは移転日から逆算して余裕を持って計画することが重要です。検査が入居日に間に合わないと、オフィスの使用開始が遅れるリスクがあります。内装業者・ビル管理会社と事前に確認してください。

テナントとビル側の責任分担

賃貸オフィスでは、消防法上の義務がテナント側とビル側(ビルオーナー・管理会社)に分かれます。入居前に責任範囲を確認しておくことが重要です。

項目一般的な責任者確認事項
消防用設備の設置ビルオーナー・管理会社設備の種類・設置状況を入居前に確認する
消防用設備の点検費用契約による(ビルまたはテナント)賃貸借契約書・管理会社に確認する
防火管理者の選任テナント(収容人員要件による)入居前に収容人員を確認し、選任義務の有無を消防署に確認する
消防計画の作成・届出テナント(防火管理者が実施)入居後速やかに作成・届出する
避難訓練の実施テナント(防火管理者が主導)ビル全体の訓練との調整が必要な場合がある
内装工事時の消防届出テナント(工事発注者)着工前に管轄消防署・ビル管理会社に確認する

よくある質問

防火管理者は誰でもなれますか?必要な資格は何ですか?
防火管理者になるには、消防署等が実施する講習を修了する必要があります。甲種(2日間)または乙種(1日間)の防火管理者講習を受講し、修了証を取得した上で消防署に選任届を提出します。特別な国家資格は不要で、社員であれば受講できます。講習の日程・場所は各都道府県の消防設備協会等のウェブサイトで確認できます。
消防計画はいつまでに提出すればよいですか?
防火管理者を選任した後、速やかに消防計画を作成し管轄消防署に届け出ることが求められます。明確な期限は法令上規定されていないケースもありますが、入居後できるだけ早く対応することをお勧めします。また、組織変更・移転・レイアウト変更等があった場合は変更届が必要です。
消防用設備の点検はどこに依頼すればよいですか?
消防設備士または消防設備点検資格者の資格を持つ業者に依頼する必要があります。ビル管理会社が指定業者を案内しているケースもあります。複数社から見積もりを取ることをお勧めします。なお点検結果の報告書は管轄消防署に提出する義務があります。
内装工事をする場合、消防署への届出は必ず必要ですか?
工事の内容・規模によります。消防設備(スプリンクラー・自動火災報知設備等)に影響する工事、防火区画の変更を伴う工事は届出・検査が必要になるケースがあります。軽微な内装工事(壁紙の張り替え・家具の設置等)は不要な場合が多いですが、判断が難しい場合は管轄消防署またはビル管理会社に事前に確認してください。
消防検査に不合格になった場合はどうなりますか?
是正事項が指摘され、改善工事・対応後に再検査を受けることになります。不合格のままオフィスを使用開始することは法令上問題になる可能性があります。検査スケジュールは移転日から余裕を持って設定することが重要です。
テナントが入れ替わった場合、消防関係の手続きは必要ですか?
必要です。新しいテナントが入居する際には、①防火管理者の選任届(前テナントの防火管理者は自動的に引き継がれません)、②消防計画の新規作成・届出、③必要に応じた消防用設備の点検、が必要になります。入居前に管轄消防署に確認してください。
消防点検の費用はテナントとビル側どちらが負担しますか?
賃貸借契約・ビルの管理規約により異なります。共用部の設備はビル側負担、テナント専有部内の設備はテナント負担というケースが多いですが、ビルにより異なります。入居前に管理会社・賃貸借契約書で確認してください。

消防法対応・設備条件を踏まえた物件選びをサポート

消防用設備の設置状況・点検費用の負担区分・防火管理者の選任義務など、入居前の確認事項も含めてお手伝いします。

無料相談はこちら(無料)

📎 参考・出典元

情報源資料・根拠
e-Gov法令検索消防法防火管理者・消防計画・消防用設備点検の法的根拠として参照
総務省消防庁消防用設備等の点検基準・点検結果の報告消防用設備点検の頻度・報告義務の参考として参照
オフィサイト仲介実績消防法対応・手続きに関する社内調査・実務経験(目安)

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