公開日: 2026年04月10日

最終更新日: 2026年04月10日

オフィス移転資金の調達方法|中小企業向けに融資・補助金・リースを比較

オフィス移転資金の契約書に署名するビジネスパーソンのイメージ

※本記事は賃貸オフィス実務16年・累計1,000件以上の契約実績を持つ専門家が監修しています。

本記事は、オフィス移転を検討している中小企業・スタートアップの経営者・総務担当者向けに、移転資金の調達手段と費用計画の考え方を実務ベースで解説しています。

500〜2,000万円30坪規模の移転費用目安
3〜6か月前資金調達の準備開始時期
4つの手段融資・補助金・リース・自己資金
📋 この記事でわかること
  • オフィス移転にかかる費用の全体像と資金計画の立て方
  • 銀行融資・日本政策金融公庫・補助金・リースそれぞれの特徴と使い分け
  • 初期費用を抑える物件選びとコスト削減の考え方
  • 資金調達で失敗しないための注意点とスケジュール

オフィス移転にかかる費用の全体像

オフィス移転の資金調達を考えるにあたって、まず費用の全体像を把握することが重要です。移転費用は「初期費用」と「月次費用」に大別され、物件規模・エリア・グレードによって大きく異なります。以下は当社実務経験をもとにした一般的な目安です。実際の費用は物件条件・内装範囲・原状回復義務の内容で大きく変動します。公的制度の要件・募集時期は変更される場合があるため、最新情報は各公式窓口でご確認ください。

費用項目内容30坪目安(東京都内)
保証金・敷金賃料の6〜12か月分が一般的150〜360万円
仲介手数料賃料の1か月分が上限25〜50万円
内装工事費スケルトンの場合 坪20〜50万円600〜1,500万円
家具・什器購入費デスク・チェア・収納等100〜300万円
IT・ネットワーク整備回線・Wi-Fi・電話・サーバー50〜200万円
引越し費用梱包・輸送・設置30〜100万円
旧オフィス原状回復退去時の内装復元工事50〜300万円
合計目安500〜2,000万円超

まず総額を把握したい方は、オフィス移転費用シミュレーションもあわせてご参照ください。

💡
セットアップオフィスや居抜き物件を選ぶと、内装工事費・家具什器費が大幅に削減できるケースがあります。詳しくはセットアップオフィスの初期費用削減効果をご参照ください。

資金計画の立て方と準備スケジュール

移転費用の調達は、移転日の3〜6か月前から準備を始めることを当社では推奨しています。融資審査・補助金申請にはいずれも一定の時間がかかるため、直前での申請では間に合わないケースが多くあります。

資金調達の準備スケジュール 6か月前 費用総額の 概算作成 5か月前 融資・補助金 申請開始 3か月前 物件契約・ 保証金支払 1か月前 工事・什器 発注・支払 移転日 引越し・ 業務開始 ※補助金申請は採択まで2〜4か月かかるケースが多いため早めの準備が重要です
▲ 移転資金調達の準備スケジュール目安(物件・条件により異なります)

銀行融資・日本政策金融公庫の活用

日本政策金融公庫(国民生活事業・中小企業事業)

中小企業・スタートアップにとって最も活用しやすい融資先のひとつが日本政策金融公庫です。民間銀行より審査が通りやすく、低金利・長期返済の条件が整っているケースがあります。オフィス移転費用は「設備資金」として申請できる場合があり、物件の賃貸借契約書・工事見積書・資金使途の説明資料が主な必要書類となります。

融資先特徴向いている企業
日本政策金融公庫低金利・長期返済・審査が通りやすい傾向中小企業・スタートアップ・創業3年以内
地方銀行・信用金庫地域密着・既存取引があれば審査有利地元に根ざした中小企業
都市銀行(メガバンク)大口融資・信用力が高い企業向け中堅〜大企業・上場企業
信用保証協会付き融資保証協会が保証→銀行の審査ハードル低下担保・実績が少ない中小企業
宅地建物取引士のコメント

移転費用の融資相談は「物件が決まってから」では遅いことがほとんどです。物件探しと並行して金融機関への相談を始め、融資の内諾を得た状態で物件契約に臨むのが理想的です。オフィサイトの仲介実務でも、資金計画が固まっていない段階での移転は後々のトラブルにつながるケースを多く見てきました。

移転費用の総額は物件タイプで大きく変わります。セットアップ・居抜き・スケルトンそれぞれの初期費用を比較しながら資金計画を立てたい方はこちらから。

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補助金・助成金の活用

オフィス移転に活用できる補助金・助成金は、国・都道府県・市区町村のいずれかが実施しているものが存在します。ただし補助金は後払い(立替払い後に交付)が基本であるため、手元資金がゼロの状態では活用できない点に注意が必要です。また募集期間・予算に上限があり、申請したからといって必ず採択されるわけではありません。

補助金・助成金の種類概要注意点
IT導入補助金業務効率化のためのITツール・システム導入費用を補助。移転に伴うIT環境整備に活用できるケースも補助対象はITツールに限定。工事費・家具は対象外
ものづくり補助金中小企業の設備投資・革新的サービス開発を支援。オフィス設備投資が対象になるケースも事業計画の策定が必須。採択率は条件により変動
小規模事業者持続化補助金小規模事業者の販路開拓・業務効率化を支援上限額が比較的小さい(50〜200万円程度)
地方自治体の移転促進補助金特定エリアへの移転・誘致を目的とした補助金。東京都・各区市町村が独自に実施対象エリア・業種・規模の制限あり。随時確認が必要
⚠️
補助金は事前申請・採択後の実施が原則です。契約・発注後の申請では対象外になるケースがほとんどです。また補助金申請サポートを謳う業者の中には高額な手数料を請求するケースもあるため、公的機関(よろず支援拠点・商工会議所等)への相談を優先してください。

リース・割賦の活用

家具・什器・OA機器・IT機器については、購入ではなくリースや割賦(分割払い)を活用することで初期の現金支出を抑えられます。特に創業・成長フェーズで手元資金を確保したい企業にとって有効な選択肢です。

方法特徴向いているケース
オペレーティングリース月額定額で使用。期間終了後は返却。メンテナンス込みの場合も最新機器を常に使いたい・初期費用を抑えたい
ファイナンスリース実質的に購入と同じ。リース期間終了後に所有権移転も可最終的に自社所有したい場合
割賦(分割払い)購入費用を分割して支払い。所有権は当初から自社現金一括支出を避けたい・税務処理を簡易にしたい
POINT リースと購入の税務上の取り扱いは異なります。リース料は全額損金算入できる一方、購入の場合は減価償却が必要です。どちらが有利かは企業の税務状況により異なるため、必ず税理士にご確認ください。移転に伴う税務処理の詳細はこちらもあわせてご参照ください。

初期費用を抑える物件・契約の工夫

資金調達と並行して、そもそもの移転費用を減らすことも重要な資金対策です。オフィサイトの仲介実務では、物件タイプの選択と契約条件の交渉で初期費用が大幅に変わるケースを多く経験しています。

  • セットアップ・居抜き物件の選択:内装工事費・家具什器費がほぼ不要になるケースがある。セットアップオフィスの詳細はこちら
  • フリーレントの交渉:入居初月〜数か月の賃料免除を交渉することで、移転直後のキャッシュフローを確保できるケースがある
  • 保証金の減額交渉:保証会社の利用により敷金・保証金を圧縮できるケースがある。保証金の交渉方法はこちら
  • 原状回復費用の事前確認:旧オフィスの原状回復費用は見落とされやすい。移転前に契約書を確認し、費用を資金計画に組み込む
  • 移転費用シミュレーション移転費用の詳細シミュレーションを活用して、漏れのない費用計画を作成する

資金調達チェックリスト

CHECKLIST
  • □ 移転費用の全項目を洗い出し、総額を概算した
  • □ 自己資金・融資・補助金・リースの組み合わせを検討した
  • □ 日本政策金融公庫または取引金融機関への相談を開始した
  • □ 活用できる補助金・助成金を公的機関に確認した
  • □ 家具・什器のリース・割賦を検討した
  • □ 旧オフィスの原状回復費用を資金計画に含めた
  • □ フリーレント・保証金減額の交渉を検討した
  • □ 税務上の取り扱い(リース vs 購入等)を税理士に確認した
  • □ 移転後の月次費用増加分を含めたキャッシュフロー計画を作成した

よくある質問

創業2年目のスタートアップでも融資を受けられますか?
日本政策金融公庫の「新創業融資制度」や「中小企業経営力強化資金」は創業間もない企業でも申請できる制度です。決算書が1期以上あること・事業計画が具体的であることが審査のポイントになります。創業2年目であれば申請資格がある制度も多いため、まず日本政策金融公庫の窓口または商工会議所に相談することをお勧めします。なお融資可否は個別の審査によるため、申請すれば必ず通るわけではありません。
補助金と融資は併用できますか?
原則として併用可能です。融資で移転費用を賄い、補助金で一部を事後的に回収するという形が実務上よく見られます。ただし補助金によっては融資との併用に制限がある場合もあるため、申請前に各補助金の要件を確認してください。また補助金は採択・交付まで数か月かかるため、その間の資金繰りを融資でカバーする計画が重要です。
保証金(敷金)の支払いタイミングはいつですか?
一般的に賃貸借契約締結時(入居の1〜2か月前)に保証金の全額または一部を支払います。物件によっては分割払いに応じるケースもありますが、基本的には一括払いが原則です。保証金は移転費用の中でも早い段階で必要になる費用のため、融資の内諾を得てから物件契約に進む流れが安全です。
内装工事費はローンで支払えますか?
工事会社によっては分割払いに対応しているケースがあります。また、日本政策金融公庫の設備資金として内装工事費を含めて融資申請することも可能なケースがあります。ただし融資額・条件は審査によるため、事前に金融機関と工事会社の両方に確認することをお勧めします。
移転費用を経費として計上できますか?
移転に伴う費用の多くは経費計上できますが、内容によって処理方法が異なります。引越し費用・仲介手数料は原則として全額損金算入できます。内装工事費や家具は固定資産として計上し減価償却する必要があります。保証金は原則として資産計上です。詳細は必ず税理士にご確認ください。移転に伴う税務処理の詳細はこちらもご参照ください。
資金調達に失敗した場合、移転を中止できますか?
物件の賃貸借契約締結前であれば中止は可能です。ただし契約後の解除は違約金が発生するケースがほとんどです。このため資金調達の目処が立ってから契約に進むことが重要です。融資の内諾・補助金の採択通知を確認した上で契約するのが安全な進め方です。
移転後の月次費用(賃料等)の増加も資金計画に含めるべきですか?
必ず含めてください。初期費用だけでなく、移転後の月次賃料・共益費・管理費の増加分が毎月の固定費として加算されます。移転後6か月〜1年分のキャッシュフロー計画を作成し、増加する固定費を支払い続けられる手元資金があるかを確認することが重要です。
自己資金はどのくらい用意しておくべきですか?
移転費用をすべて外部調達に頼るのではなく、保証金支払いや予備費に備えて一定の自己資金を確保しておくことを当社では推奨しています。補助金は後払いが基本で、融資も満額実行されるとは限らないため、予想総額の2〜3割程度を自己資金または手元流動性として見込む考え方が安全です。必要額は企業規模・資金繰り状況により異なるため、金融機関や税理士に相談しながら計画を立てることをお勧めします。

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📎 参考・出典元

情報源資料・根拠
日本政策金融公庫融資制度一覧(中小企業・個人事業主向け)融資制度の概要・申請要件として参照
中小企業庁補助金・助成金ナビ(J-Net21)活用可能な補助金・助成金の検索・確認として参照
オフィサイト仲介実績移転費用・資金調達に関する社内調査・実務経験(目安)

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