公開日: 2026年04月14日

最終更新日: 2026年04月14日

オフィスの騒音対策・防音工事ガイド|集中スペース設計と近隣クレームの防ぎ方

オフィスの騒音対策・防音工事のイメージ

※本記事は賃貸オフィス実務16年・累計1,000件以上の契約実績を持つ専門家が監修しています。

「オフィス内の会話や電話の声が気になって集中できない」「防音工事をしたいが賃貸でどこまでできるか分からない」「隣室・上下階への音漏れが心配」——そうお感じの経営者・総務担当者・施設管理担当者向けに、賃貸オフィスの騒音対策・防音工事の実務を解説します。

音の種類空気音と固体音で対策が異なる
B工事確認防音工事はビル管理会社への確認が必須
ゾーン設計静音・コラボゾーンの分離が最も効果的
📋 この記事でわかること
  • オフィスの騒音の種類と発生源の整理
  • コストをかけずにできる騒音対策
  • 防音工事の種類・費用相場・賃貸での注意点
  • 集中スペース・防音ブースの設計ポイント
  • 近隣テナント・上下階へのクレーム対策
  • 物件選びにおける防音性能の確認ポイント

騒音の種類と発生源

オフィスの騒音対策を効果的に進めるには、まず音の種類(空気音・固体音)を理解することが重要です。種類によって対策方法が異なります。

種類内容主な発生源主な対策
空気音空気を振動させて伝わる音会話・電話・Web会議・BGM吸音材・間仕切り・防音ブース
固体音(振動音)建物の構造体を伝わる音椅子の引きずり・足音・機器の振動防振マット・フローリング変更・脚キャップ

オフィスの主な騒音発生源

発生源影響優先度
Web会議・電話個人の音漏れ・周囲への影響が大きい◎ 最優先で対策
執務エリアの会話集中作業の妨げになりやすい◎ 最優先で対策
椅子・キャスターの音下階への固体音として伝わりやすい○ 早めに対策
空調・機器の振動音継続的な低周波音として不快感が生じやすい○ 早めに対策
来客・受付エリアの声執務エリアへの音漏れが発生しやすい△ レイアウト改善で対応可

コストをかけずにできる騒音対策

防音工事の前に、まずコストをかけずに実施できる対策から着手することをお勧めします。

対策内容費用目安
椅子・机の脚キャップ・フェルト貼り椅子を引く音・固体音を大幅に軽減数千円〜
ホワイトノイズ・BGMの活用環境音を流すことで会話の聞き取りにくさを高める0〜数万円
Web会議のルール化イヤホン必須・声量ルール・個室利用の徹底0円
パーテーション・ローパーティション設置視線遮断+軽微な吸音効果。移動可能で賃貸向き1〜10万円程度
吸音パネル・吸音材の貼り付け壁面・天井に取り付けて反響音を軽減数万円〜
💡
オフィサイトの仲介現場では、ホワイトノイズ+Web会議ルールの徹底だけで騒音クレームが大幅に減ったケースが多いです。まずルール整備から始めることをお勧めします。

防音工事の種類と費用相場

賃貸オフィスでの防音工事はB工事(ビル指定業者施工)またはC工事(テナント任意)に該当するケースがあります。工事前に必ずビル管理会社に確認してください。

工事の種類内容費用目安賃貸での注意点
防音間仕切り設置遮音性の高い間仕切りで会議室・個室を区切る30〜150万円程度原状回復義務を確認する
防音ドア・サッシ交換既存ドアを防音ドアに交換する20〜80万円程度B工事に該当するケースが多い
床の防音対策(防振フロア)防振マット・二重床施工で下階への固体音を軽減50〜200万円程度原状回復が難しいため退去コスト増に注意
吸音天井材の施工天井に吸音材を施工して室内の反響を抑える30〜100万円程度天井工事はB工事になるケースが多い
防音個室ブースの設置組み立て式の防音ブースを設置する30〜200万円程度C工事扱いが多く比較的自由に設置可能

※上記はオフィサイト実務経験をもとにした参考目安です。実際の費用は仕様・業者・ビル条件により大きく異なります。必ず複数社から見積もりを取ってください。

⚠️
防音工事は退去時の原状回復費用が大きくなりやすい工事です。工事前に管理会社と「撤去義務の有無・原状回復の範囲・費用負担」を書面で確認することをお勧めします。

集中スペース・防音ブースの設計

防音工事をせずに騒音問題を解決する最も効果的な方法は、静音ゾーンとコラボゾーンをレイアウトで分離することです。

ゾーン用途防音設計のポイント
静音ゾーン(集中エリア)個人作業・深い集中が必要な業務会話禁止ルール・吸音パネル・窓から離れた位置
Web会議専用ブースオンライン会議・電話対応防音ブース(組み立て式)・イヤホン必須ルール
コラボゾーンチームMTG・議論・ブレスト静音ゾーンから物理的に離す・吸音壁材の活用
ラウンジ・フリースペース休憩・非公式な会話静音ゾーンから最も遠い位置に配置
防音ブース選びのポイント
  • 遮音性能(Dr値):Dr-30以上が通話・会議用の目安
  • 換気・空調:密閉式のため換気設備が必須。CO2濃度に注意
  • サイズ・搬入経路:エレベーター・搬入口のサイズを事前確認
  • 電源・LAN:ブース内への電源・LAN配線の確保
  • レンタル・リースの活用:初期費用を抑えたい場合はレンタルも選択肢

ABW(活動ベースの働き方)との組み合わせについてはABW・ウェルビーイングオフィスとは、照明計画との組み合わせについてはオフィス照明計画の基本もご参照ください。

近隣クレームの防ぎ方

隣室・上下階のテナントや近隣住民からの騒音クレームは、入居後のトラブルとして発生しやすい課題です。

クレームが起きやすいシーン

  • 夜間・早朝の作業音:ビルの規定時間外の騒音は特にクレームになりやすい
  • Web会議の音漏れ:個室不足で執務エリアで大声の会議をするケース
  • 椅子・台車の音:夜間の荷物移動・台車使用が下階に響くケース
  • パーティー・イベント:社内イベントでの音楽・歓声がビル外まで漏れるケース

クレーム対策のポイント

対策内容
入居時に管理会社へ確認ビルの使用時間・音に関する規定を入居前に把握する
社内ルールの文書化声量・時間帯・Web会議のルールを社内に周知する
クレームが来たら速やかに対応管理会社を通じて状況を確認し、原因と対策を伝える
イベント前の事前連絡社内イベント時は管理会社・隣接テナントに事前に知らせる

物件選びにおける防音性能の確認

防音性能は入居後に変えにくい条件のひとつです。物件選びの段階で以下を確認することをお勧めします。

内見時の防音チェックリスト
  • 壁・床・天井の構造:RC造・SRC造は防音性が高い傾向がある
  • 隣室・上下階の用途:音楽スタジオ・コールセンター・飲食店が隣接していないか確認
  • 窓の防音性:複層ガラス・防音サッシか確認(幹線道路沿いは特に重要)
  • 空調・設備の振動音:内見時に空調を動かして振動・音を確認する
  • 防音工事の可否:間仕切り変更・防音ブース設置のB工事条件を確認する
  • ビルの使用時間規定:夜間・休日の使用制限を確認する

防音性能・ゾーン設計しやすい物件条件を踏まえた物件選びはこちら

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よくある質問

賃貸オフィスで防音工事はできますか?
可能なケースが多いですが、工事の種類・規模によりB工事(ビル指定業者施工)またはC工事(テナント任意)に分類されます。間仕切り変更・防音ドア交換はB工事になるケースが多く、組み立て式防音ブースはC工事として自由に設置できるケースが多いです。必ず事前にビル管理会社に確認してください。
防音工事の費用はどのくらいかかりますか?
防音ブース1台の設置で30〜200万円程度、防音間仕切りの設置で30〜150万円程度になるケースがあります(オフィサイト実務参考値)。規模・仕様・業者により大きく異なるため、複数社から見積もりを取ることをお勧めします。なお退去時の原状回復費用も考慮した上でトータルコストを試算してください。
防音ブースと会議室はどちらが効果的ですか?
用途により異なります。Web会議・電話・短時間の集中作業には防音ブースが手軽で効果的です。チームMTG・長時間の議論・複数人での会議には会議室の方が向いています。賃貸オフィスでは防音ブースの方が工事不要・移設可能のため、まず防音ブースから導入し、不足を感じたら会議室増設を検討するアプローチが現実的なケースが多いです。
上下階への音漏れを防ぐにはどうすればよいですか?
固体音(椅子の引きずり・足音・台車)が主な原因であることが多いです。まず①椅子・机の脚キャップ・フェルト貼り、②キャスター付き椅子の変更、③防振マットの設置から始めることをお勧めします。工事が必要な場合は防振フロア(二重床)の施工が有効ですが、賃貸では原状回復費用が大きくなるため、事前確認が重要です。
隣のテナントから騒音クレームが来た場合はどう対応すればよいですか?
①まず管理会社に状況を報告・相談する、②騒音の発生源・時間帯を特定する、③発生源に応じた対策(ルール化・吸音材設置・防音ブース導入等)を実施する、④管理会社を通じて対応内容を相手テナントに伝える、の順で対応することをお勧めします。直接交渉はトラブルに発展しやすいため、管理会社を介することが重要です。
Web会議が多いオフィスで優先すべき防音対策は何ですか?
①イヤホン必須ルールの徹底(最もコストゼロで効果大)、②ホワイトノイズの導入(周囲への聞こえにくさを高める)、③防音ブースの設置(Web会議専用スペースを確保する)の3ステップが効果的です。防音ブースは1台30〜200万円程度ですが、レンタルや中古品を活用することで初期コストを抑えられるケースもあります。
防音性能の高い賃貸オフィスはどう探せばよいですか?
仲介会社に「RC造・SRC造」「隣接テナントが静かな業種」「防音工事可能」「複層ガラス」などの条件を伝えることで候補を絞り込めます。内見時は空調を動かして振動音を確認し、隣室の音が聞こえないかも確認することをお勧めします。オフィサイトでも防音条件を踏まえた物件選定のご相談をお受けしています。

防音性能・ゾーン設計しやすい物件をご提案

RC造・間仕切り自由度・防音ブース設置可否など、騒音対策しやすい物件条件を確認してご提案します。

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📎 参考・出典元

情報源資料・根拠
日本産業規格(JIS)JIS A 1419-1 建物の遮音等級(Dr値の参考基準として参照)防音ブース・間仕切りの遮音性能評価基準
監修者実務知見矢冨 裕敏(宅地建物取引士・課長)の16年の賃貸管理実務をもとに整理(法的判断ではありません)

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