公開日: 2026年04月08日
最終更新日: 2026年04月08日
賃貸オフィスの更新料とは|相場・交渉方法・更新か移転かの判断基準
- オフィス更新料の相場と法的な位置づけ
- 更新時に賃料改定を交渉するタイミングと方法
- 更新料を減額・免除してもらうための交渉術
- 更新vs移転をコスト比較で判断する計算方法
- 更新交渉で合意できなかった場合の対処法
賃貸借契約の更新時期が近づくと「更新料を払うべきか」「賃料を下げてもらえないか」「このまま更新すべきか移転すべきか」という悩みが生じます。本記事では更新時の判断基準と交渉術を解説します(契約の流れ全体はこちら)。
1. 更新料とは何か
更新料とは、賃貸借契約を更新する際にテナントがオーナーに支払う一時金です。法律上の義務はなく、契約書で定められた場合のみ発生します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法的根拠 | 契約書の特約による(法律上の義務なし) |
| 一般的な目安(契約条件により異なります) | 賃料の1〜2ヶ月分 |
| 支払いタイミング | 更新契約の締結時 |
| 地域差 | エリア・物件・契約条件により差がある |
| 交渉の可能性 | 長期入居実績がある場合は交渉可能 |
「更新料を払うのが嫌で移転を検討している」というお客様に必ずお伝えするのが、まず「更新交渉を試みてください」ということです。移転費用(原状回復費用+敷金+引越し)が1,000万円以上かかるのに対し、更新料は100〜200万円程度のケースが多く、交渉で半額になれば50〜100万円の節約です。移転より先に交渉を試みることが経済的に正解です。
2. 更新時の賃料改定交渉
更新時は賃料の見直しを交渉できる数少ない機会です。特に以下の状況では交渉が通りやすくなります。
周辺エリアの市場賃料が下落している
ビルの空室率が上がっている
長期入居(3年以上)の実績がある
建物の築年数・設備が老朽化している
同ビル内の他テナントが退去して空室が増えている
- 更新の半年前から動き始めてください。
- 「更新しないかもしれない」という態度をさりげなく示しながら交渉することで、オーナーが賃料減額に応じやすくなります。
- 移転候補物件の相見積もりを取っておくことも交渉の材料になります。
「更新か移転か」の相談で私が必ず行うのは「5年間の総コスト比較」です。移転した場合の賃料削減額×5年と移転コストを比較して、プラスになれば移転を勧め、マイナスなら更新を勧めます。感情や雰囲気ではなく数字で判断することが経営の正しい判断です。
3. 更新か移転かを判断する計算式
| 選択肢 | コスト項目 | 試算(50坪・月125万円の場合) |
|---|---|---|
| 更新(現状維持) | 更新料のみ | 125万〜250万円(1〜2ヶ月分) |
| 更新(賃料5%減額) | 更新料−賃料削減効果 | 更新料250万円−削減年75万円×3年=225万円削減 |
| 移転 | 原状回復+新オフィス敷金+工事+引越し | 1,000万〜2,000万円(規模による) |
更新コスト<移転コストであれば更新を選択し、移転によって削減できる賃料で移転コストを早期に回収できる場合は移転を検討します。
🏢 更新か移転かのコスト比較をしたい方へ
更新vs移転を無料試算する4. 更新料を減額・免除してもらうための交渉術
更新の6ヶ月前から管理会社・オーナーにアプローチを開始
長期入居実績・賃料滞納ゼロの実績をアピール
「更新料を半額にしてもらえれば継続します」と具体的な条件を提示
更新料ゼロの物件の相見積もりを示して交渉の根拠にする(賃料交渉の方法はこちら)
管理会社を通じて交渉(直接オーナーへの交渉より通りやすいケースがある)
5. 更新交渉が合意できなかった場合
更新条件に合意できない場合、契約が期間満了後に「法定更新」される可能性があります(普通借家契約の場合)。法定更新では従前と同一条件で契約が継続されますが、期間が定まらない不安定な状態になります。合意できない場合は移転を真剣に検討するか、調停・ADRを活用することも選択肢です。
6. 状況別ネクストアクション
| 🎯 あなたの状況別ネクストアクション | |
| 更新時期が近づいている | 今すぐ契約書で更新条件を確認し、6ヶ月前から交渉を開始 |
| 賃料を下げてほしい | 市場相場の調査データを仲介会社に依頼し、交渉の根拠データを準備 |
| 更新か移転か迷っている | 移転費用と3〜5年間の賃料削減効果を比較計算。オフィサイトに無料試算を依頼 |
| 更新料の免除を交渉したい | 長期入居実績・滞納ゼロ・次の5年継続の意思をセットで提示する |
7. まとめ
更新時期は賃料・更新料の見直しを交渉できる数少ないチャンスです。6ヶ月前から動き始め(解約予告期間の詳細はこちら)、市場相場のデータを根拠に具体的な条件を提示することで交渉が成立しやすくなります。更新か移転かは総コスト比較で判断し、感情ではなく数字で決断してください。
よくある質問(FAQ)
更新料は法律上必ず払わなければなりませんか?
更新料は法律上の義務ではなく、契約書に定めがある場合のみ発生します。ただし最高裁判例(平成23年)では、一定の更新料特約は有効と認められています。契約書に明記されている場合は支払い義務があります。
更新時に賃料を下げてもらいやすい条件は?
①周辺の市場賃料が下落している、②ビルの空室率が上昇している、③長期入居(3年以上)の実績がある、④建物・設備の老朽化が進んでいる、の4つが揃うと交渉が通りやすくなります。更新の6ヶ月前から動き始めることが重要です。
更新しないと法定更新になりますか?
普通借家契約で更新の合意ができない場合、借地借家法26条により法定更新(従前と同一条件で更新)となります。この場合、期間の定めのない契約に変わります。貸主側からの解約には「正当事由」が必要になります。
更新か移転かの判断でよく見落とされるコストは?
更新料と更新事務手数料の違いは何ですか?
更新料はオーナー(貸主)に支払う費用で、契約更新の対価として賃料1〜2ヶ月分が目安とされることがあります。一方、更新事務手数料は仲介会社や管理会社に支払う手続き費用で、賃料0.5〜1ヶ月分程度が一般的な目安です。両方が発生する場合もあります。契約書で「更新料」と「事務手数料」が別項目になっているか確認してください(当社実務経験より)。
定期借家契約でも更新料は発生しますか?
定期借家契約には「更新」がなく、期間満了で契約が終了します。そのため定期借家契約では更新料は原則発生しません。ただし、同条件で再契約する際に「再契約手数料」が発生するケースがあります。契約書が「普通借家」か「定期借家」かを確認し、更新料の有無も重要事項説明書で確認してください(当社実務経験より)。
更新交渉はいつ誰に相談するのが良いですか?
更新期限の6ヶ月前を目安に動き始めることをお勧めします。相談先は契約時の仲介会社または現在の管理会社が基本ですが、第三者の仲介会社に相談することで市場相場の客観データを入手しやすくなります。「移転も検討している」という姿勢を示すことが交渉力につながることがあります(当社実務経験より)。
更新交渉は仲介会社に代行してもらえますか?
はい。オフィサイトでは現在入居中の物件の更新交渉サポートも承っています。市場相場のデータ提供・オーナーへの交渉代行・更新か移転かの費用試算を無料で実施します。
参考・出典元
本記事の法律・制度・費用に関する記載は、下記の官公庁・行政機関等の公式情報を参考・根拠としています。
| 情報源 | 資料・ページ名 / 参照内容 |
|---|---|
| e-Gov 法令検索(総務省) | 借地借家法 第26条(建物賃貸借の更新)・第28条(更新拒絶の要件)更新料・更新条件に関する借地借家法の規定 |
| 裁判所 | 最高裁判所 平成23年7月15日判決(更新料特約の有効性)賃貸借契約の更新料特約が有効とされた最高裁判例 |
| 国土交通省 | 不動産業統計集(オフィス市場の賃料・更新動向)更新時の賃料改定・市場動向の参考 |
不動産業界16年のキャリアを持ち、宅建士・賃貸管理士・管理業務主任者・敷金診断士など8種の専門資格を保有。オフィスビルの収益改善・プロパティマネジメントから相続財産評価まで多角的な視点で不動産の価値最大化を支援。オフィサイトでは不動産コンサル・オーナー向け情報に関する記事の執筆・監修を担当。





