公開日: 2026年03月31日

最終更新日: 2026年04月04日

賃貸オフィスの契約の流れ完全ガイド|申込みから入居までの全手順と注意点

賃貸オフィスの契約の流れ完全ガイド|申込みから入居まで全手順
7ステップ申込みから入居までの全工程
1〜2週間入居審査の標準所要期間
契約前確認重要事項説明で確認すべき7点
📋 この記事を読むとわかること
  • 賃貸オフィスの申込みから鍵渡しまでの全7ステップ
  • 入居申込書・審査書類の準備方法と審査のポイント
  • 重要事項説明で必ず確認すべき7つのポイント
  • 賃貸借契約書で見逃してはいけない条項
  • 保証会社・仲介手数料・初期費用の支払いスケジュール

この記事は、初めてオフィス移転を担当する総務・管理部門の方、または移転を検討しはじめたスタートアップの経営者・担当者に向けて書いています。賃貸オフィスの契約プロセスを正しく理解していないと、重要な確認を見落としたり、想定外の費用が発生したりするリスクがあります。本記事では申込みから入居まで全7ステップを、根拠・注意点とあわせて詳しく解説します。

申込みから入居までの標準スケジュール

ステップ内容目安期間
1. 物件申込み入居申込書の提出即日〜1日
2. 入居審査オーナー・保証会社による審査3〜10日
3. 重要事項説明宅建士による説明(法令義務)1〜2日
4. 契約書締結賃貸借契約書への記名・押印(法令義務)1〜3日
5. 初期費用支払い敷金・礼金・前家賃・仲介手数料の振込契約日〜3日
6. 鍵の引渡し入居日に鍵・書類を受領入居日当日
7. 内装工事・入居B工事・A工事の完了後に業務開始(B工事の詳細はこちら1〜3ヶ月

※ 申込みから入居まで通常1〜3ヶ月。内装工事の規模によっては3〜6ヶ月かかるケースもあります。

契約フロー|よく止まるボトルネック3箇所 1 物件申込み 即日〜1日 2 入居審査 ⚠️ 書類不備で遅延 3〜10日→2〜3週間になることも 3 重要事項 説明 法令義務 4 契約締結 ⚠️ 条項の見落とし 原状回復・フリーレント返還 5 初期費用 ⚠️ B工事費の誤算 想定より高額になりがち 6 鍵渡し 7 内装工事 入居開始 ⚠️ よく止まるボトルネック(STEP2・4・5) スムーズに進みやすいステップ ▲ 当社実務経験ベース。物件・状況により異なります。
▲ 契約フロー全7ステップ|よく止まるボトルネック3箇所

1. 賃貸オフィス契約の全7ステップ

ステップ 内容 所要期間
Step1 入居申込書の提出 希望物件に対して入居申込書を提出 即日
Step2 審査書類の準備・提出 決算書・登記事項証明書等を提出 1〜3日
Step3 入居審査 オーナー・管理会社・保証会社による審査 3〜10日
Step4 重要事項説明 宅建士から物件の重要事項の説明を受ける 1〜2時間
Step5 賃貸借契約書の締結 契約書に署名・捺印し契約成立 1〜3日
Step6 初期費用の支払い 敷金・礼金・仲介手数料・前払い賃料を支払い 1〜3日
Step7 鍵の引き渡し・入居 鍵を受け取り入居開始(内装工事開始) 入居日当日

2. 入居申込書の記載事項と注意点

入居申込書は「この物件を借りたい」という意思表示書類です。法的な拘束力はありませんが、申込み後のキャンセルは信用に関わるため、慎重に提出してください。

  • 会社の正式名称・住所・代表者名・設立日を正確に記載

  • 使用目的(事務所使用)を明記

  • 希望入居日・契約期間を現実的な日程で記載

  • 記載事項は登記事項証明書と一致させる

宅地建物取引士のコメント

審査で最も多い落とし穴が「決算書に税務署受付印がない」です。税理士から受け取った決算書には税務署印がない場合があります。必ず税務署受付印付き(電子申告の場合は受信通知付き)の決算書を準備してください。この1点で審査が止まるケースを何度も見てきました。

3. 審査書類の完全リスト

書類 法人 個人事業主 注意点
登記事項証明書(履歴事項全部) 必須 発行から3ヶ月以内
決算書(直近2〜3期) 必須 確定申告書 税務署受付印付きのもの
法人印鑑証明書 必須 発行から3ヶ月以内
代表者の身分証明書 必須 必須 運転免許証・マイナンバー等
会社概要・事業計画書 推奨 推奨 審査不安な場合は必ず添付
銀行残高証明書 推奨 推奨 財務健全性をアピール

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4. 重要事項説明で確認すべき7ポイント

  1. 原状回復の範囲(スケルトン返却か現状復旧か)

  2. B工事の範囲と指定業者リスト

  3. 解約予告期間(何ヶ月前に通知が必要か)

  4. 中途解約違約金の条件と計算方法

  5. 時間外空調費の有無・単価

  6. 更新料の有無・更新時の賃料改定の条件

  7. 転貸・用途変更の可否

⚠️ 重要

重要事項説明は宅地建物取引士が行う法令上の義務です(宅建業法第35条)。内容が理解できない場合はその場で質問してください。「サインしてから後で確認する」は危険です。疑問点はすべて解消してから署名してください。

宅地建物取引士のコメント

「原状回復はスケルトン返却と書いてある」と退去間際に気づくお客様が後を絶ちません。入居時には夢中で進んでしまいがちですが、契約書の原状回復条項は必ず入居前にしっかり確認してください。「スケルトン返却」か「現状復旧」かの一言で、退去費用が数百万〜数千万円変わります。

5. 賃貸借契約書で見逃してはいけない条項

  • 原状回復条項:「現状復旧」か「スケルトン返却」かを明記。退去時のコストに直結します。【民法第621条・契約差あり】(詳細は原状回復工事の進め方を参照)

  • 解約予告期間:6ヶ月が標準だが3〜12ヶ月の物件もある。【借地借家法第27条・契約差あり】

  • フリーレント条項:スライド返還(途中解約時の返還義務)の有無。【個別契約による・必ず契約書で確認】

  • 賃料改定条項:更新時の増額交渉の条件と上限。【借地借家法第32条・契約差あり】

  • 転貸・用途変更の禁止条項:事業変更時に問題が出ないか確認

  • 修繕・維持管理の責任範囲:設備故障時の費用負担区分

💡 完全ガイド補足:見落とされがちな4つの論点
  • 保証会社の利用有無:多くの物件でオーナー指定の保証会社利用が必須です。保証料(賃料の50〜100%)が初期費用に加わります。【業界慣行・物件により異なります】(詳細は保証会社とはを参照)。
  • 連帯保証人が必要なケース:保証会社審査が通らない場合や、オーナーが個人保証を求めるケースがあります。代表者個人が連帯保証人になる旨が契約書に明記されているか確認してください。【民法第446条・個別契約による】
  • 契約開始日と賃料発生日の違い:契約開始日=賃料発生日とは限りません。フリーレント期間がある場合、契約開始日から一定期間は賃料が免除されます。賃料発生日を必ず契約書で確認してください。【個別契約による・必ず契約書で確認】
  • 申込み後キャンセルの扱い:申込書に法的拘束力はありませんが、審査通過後のキャンセルは信用に大きく関わります。仲介会社・オーナーとの関係悪化や、同系列物件の審査への影響が出るケースもあります。申込みは物件を絞り込んでから慎重に行ってください。【業界慣行・当社実務経験より】

⚠️ 契約プロセスで失敗しやすいポイント ベスト3

  1. B工事範囲の確認漏れ——内装工事の見積もりを取ってから「想定の2倍だった」と気づくケースが最多。申込み前にB工事の範囲と業者を確認しておくことが重要
  2. フリーレントのスライド返還条項の見落とし——早期解約時にフリーレント分を返還する条項が契約書に入っていることがある。重要事項説明で必ず確認
  3. 審査書類の不備による遅延——決算書の期数不足・代表者の印鑑証明の有効期限切れなど、書類の不備で審査が1〜2週間遅れるケースが多い

6. 初期費用の支払いスケジュール

費用項目 支払いタイミング 目安金額(坪単価2.5万円・50坪)
敷金 契約時 750万円(6ヶ月分)
礼金 契約時 125万円(1ヶ月分)
仲介手数料 契約時 125万円(1ヶ月分)
前払い賃料(翌月分) 契約時 125万円
保証会社費用 契約時 5万〜25万円
火災保険料 入居前 3万〜10万円/年
初期費用合計 約1,133万〜1,160万円

※ 敷金・礼金・仲介手数料は業界慣行に基づく目安(物件・交渉により異なります)。保証会社費は保証会社・審査結果により異なります。上記は当社実務経験ベースの試算です(坪単価2.5万円・50坪の場合)。

7. 状況別ネクストアクション

🎯 あなたの状況別ネクストアクション
初めてオフィスを借りる このガイドを手元に置いて全7ステップを順番に進める。疑問点は仲介会社にその都度確認
重要事項説明の内容が心配 事前に「確認したい7ポイント」をリストアップして仲介会社に質問を送付しておく
審査書類の準備が不安 オフィサイトに相談。書類の不備を事前にチェックしてから提出するサポートを実施
初期費用を抑えたい フリーレント・礼金なし物件・保証金分割払い対応物件を優先的に提案

8. まとめ

賃貸オフィスの契約プロセスは全7ステップで構成されています。特に重要事項説明での7ポイント確認と契約書の条項チェックは、後から取り返しのつかないトラブルを防ぐ最重要ステップです。経験豊富な仲介会社と進めることで、スムーズかつ安全に契約を完了できます。

よくある質問(FAQ)

オフィスの申込みから入居までどのくらいかかりますか?

標準的には申込みから入居まで1〜2ヶ月が目安です。審査に1〜2週間、契約締結に1〜2週間、初期費用の準備・内装工事に数週間が必要です。繁忙期(1〜3月)はさらに時間がかかる場合があります。

審査に落ちた場合はどうすればよいですか?

審査落ちの主な原因は①財務資料の不備、②赤字決算、③業種的な問題の3つです。仲介会社に落ちた理由を確認し、保証会社の変更・敷金増額・代表者個人保証の追加などの対策を講じることで再審査が通るケースがあります。

契約書のサインはどのタイミングで行いますか?

重要事項説明を受け、内容を十分に理解した後に行います。重要事項説明と契約締結は同日に行われることが多いですが、時間をかけて確認したい場合は「持ち帰らせてください」と伝えることができます。

初期費用の支払い方法は何が使えますか?

振込が一般的です。クレジットカードに対応している物件は少ないです。敷金・礼金・仲介手数料・前払い賃料を同時に支払うため、金額が大きくなります。資金計画は余裕を持って立てておいてください。

フリーレントは入居申込み時に交渉できますか?

できます。申込み前または申込み時のタイミングが最も交渉しやすいです。「フリーレントをいただければ申込みします」という形で交渉することで、オーナーが応じるケースがあります。空室期間が長い物件では特に有効です。

B工事の業者は自分で選べますか?

原則として選べません。B工事はビルオーナーが指定した業者が施工するため、テナントが自由に業者を選ぶことはできません。ただし、工事範囲・仕様・費用の見積もりに対して交渉することは可能です。申込み前にB工事の概算見積もりを取り、予算内に収まるか確認しておくことをお勧めします。B工事の費用が想定より高い場合は、範囲の限定交渉や工事仕様の変更を検討してください。

フリーレント期間中に解約した場合、フリーレント分は返還しなければなりませんか?

契約書にスライド返還条項がある場合は返還が必要です。フリーレント付き物件では「一定期間内に解約した場合はフリーレント相当額を返還する」という条項が含まれているケースがあります。重要事項説明の段階で必ず確認し、不明な場合は仲介会社に確認してください。返還義務がある場合の早期解約は、違約金+フリーレント返還のダブルコストになることがあります。

賃貸借契約書は電子契約で締結できますか?

可能です。2022年の宅建業法改正により、賃貸借契約の電子化が正式に解禁されました。電子契約の場合、印鑑・収入印紙が不要になるため、コスト削減と手続きのスピードアップが期待できます。ただし、オーナー側が電子契約に対応しているかどうかによります。まず仲介会社に電子契約の可否を確認してください。

入居後すぐに設備不具合が見つかった場合はどうすればよいですか?

入居直後の設備不具合は、速やかに管理会社またはオーナーに書面で報告してください。口頭のみだと「入居後の損傷」として扱われるリスクがあります。鍵の引渡し時に「入居前チェックシート」で設備・内装の状態を記録しておくと、退去時の原状回復トラブルを防ぐことができます。不具合が既存のものであれば修繕費用はオーナー負担となるケースがほとんどです。

参考・出典元

本記事では根拠の種類を【法令義務】【業界慣行】【個別契約による】【当社実務経験より】の4区分で明示しています。法令に関する記載は下記の官公庁・公式情報を参考としています。費用相場・スケジュール・審査事例は当社実務経験(2026年4月時点)に基づく目安であり、物件・条件により異なります。

情報源資料・ページ名 / 参照内容
e-Gov 法令検索(総務省)宅地建物取引業法 第35条(重要事項の説明)・第37条(書面の交付)賃貸オフィス契約における重要事項説明・契約書交付の法的義務
国土交通省宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方契約の流れ・申込みから入居までの法的プロセスの根拠
e-Gov 法令検索(総務省)民法 第601条(賃貸借契約の成立)賃貸借契約の成立要件・効力発生の法的根拠
当社実務経験契約スケジュール・審査事例・初期費用相場・注意点株式会社アドマイアー(オフィサイト)の実務案件をもとにした2026年4月時点の傾向。物件・条件により異なります。
📚 関連記事もあわせてご覧ください
▶ 賃貸オフィスの解約予告期間とは|早期解約・違約金・スケジュール管理 ▶ オフィスの原状回復工事の進め方|退去前の流れ・業者選び・費用交渉 ▶ 賃貸オフィスの保証会社とは|費用相場・審査基準・審査対策 ▶ 賃料・フリーレント・敷金を有利に交渉する方法

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