公開日: 2026年03月13日

最終更新日: 2026年03月25日

オフィス移転ガイド

【チェックリスト付】成長企業がオフィス移転を検討すべき
5つのサインと失敗しない判断基準

読了目安:約8分

監修:オフィサイト編集部(都心賃貸オフィスの情報収集・移転支援実績をもとに作成)

「会議室がいつも埋まっていて予約が取れない」
「デスクの間隔が狭く、集中しづらい」
「人が増えたのに、オフィスはそのまま」

こうした状態が続いている場合、単なる不便ではなく、事業成長に対してオフィスが追いつかなくなっているサインかもしれません。成長企業にとってオフィス移転は単なる引っ越しではなく、生産性・採用力・組織づくりに影響する重要な経営判断です。

本記事では、成長企業がオフィス移転を検討すべき5つのサインと、失敗しないための判断基準を賃貸オフィスの実務視点で解説します。

この記事でわかること
  • オフィス移転を検討すべき具体的な5つのサイン
  • 1人あたり面積の目安と考え方
  • 契約更新前に動くべき時期とスケジュール
  • 自社の状況を確認できるチェックリスト
  • 移転で失敗しないための実務的な判断基準

まず確認したい。オフィス移転は「困ってから」では遅いことがある

オフィス移転は、手狭になってから急いで探すと、希望条件に合う物件が見つかりにくくなります。特に人気エリアでは、一定規模以上の空室は動きが早く、検討開始が遅れるほど選択肢が限られやすくなります。

移転には物件選定だけでなく、レイアウト検討・内装工事・原状回復・引越し準備など複数の工程が発生します。オフィスに違和感が出始めた段階で情報収集を始めることが、結果的に失敗しにくい進め方につながります。
オフィス移転を検討すべき5つのサイン
執務スペース
不足
1人あたり面積
が不足
会議室が
埋まる
予約が
取りづらい
採用に
影響
候補者への
印象低下
フロア
分散
部署間連携
が落ちる
働き方に
合わない
ハイブリッド
未対応

1つでも当てはまる場合、移転検討のタイミングかもしれません

成長企業がオフィス移転を検討すべき5つのサイン

1執務スペースが限界に近づいている

最もわかりやすいサインが、執務スペースの不足です。人数増に対してオフィス面積が追いつかなくなると、業務効率や快適性は少しずつ低下していきます。

レイアウトや会議室比率によって差はありますが、賃貸オフィスでは1人あたりの面積目安はおおよそ次のように考えられます。

1人あたり面積の目安とオフィスの状態
2.5〜3坪 / 人ゆとりあり


執務席・会議室・共有部に余裕があり、集中しやすい環境
2〜2.5坪 / 人標準的


一般的な運用がしやすい。増員余地は限られてくる
2坪未満 / 人要注意


窮屈さ・会議室不足・集中力低下が起こりやすい。移転検討の目安

次のような状態が見られる場合は、すでにオフィスが成長の足を引っ張り始めている可能性があります。

  • 増員により通路が狭くなっている
  • 仮設席や一時的な席配置が常態化している
  • 隣席との距離が近く、集中しづらい
  • 収納が足りず、書類や備品があふれている

「まだ全員座れているから問題ない」と考えがちですが、実際にはこの段階から社員のストレスや集中力低下が始まっていることも少なくありません。

2会議室や共有スペースが不足している

人数が増えると、執務席以上に先に不足しやすいのが会議室や共有スペースです。社内会議・商談・採用面接・1on1・オンライン会議が重なり、予約が取りづらくなっていきます。

  • 会議室が前日や当日ではほとんど取れない
  • 面接や商談で近隣のカフェを利用している
  • 自席でのWeb会議が増え、周囲に音が漏れている
  • 短時間の打ち合わせをする場所がない

会議室不足は単なる不便にとどまりません。社外対応の品質低下や情報管理面のリスクにもつながります。移転時には会議室数だけでなく、1人用Web会議ブース・ファミレスブース・オープンミーティングスペースなどを用途別に組み合わせて検討することが重要です。

3採用や企業イメージに影響が出ている

オフィスは、求職者や取引先が企業を体感する重要な接点のひとつです。採用活動では、候補者が面接時に受ける印象が志望度に影響するケースも少なくありません。

  • 内装や共用部に古さが出ている
  • エントランスや会議室が手狭で来客対応しづらい
  • 面接時に執務エリアの窮屈さが伝わってしまう
  • 企業カルチャーや成長性が空間に表れていない

もちろん採用がオフィスだけで決まるわけではありません。ただし、採用競争が激しい職種ほど、働く環境への関心は高まっています。移転は立地・ビルグレードの見直しに加え、企業らしさを空間で表現する機会でもあります。

4フロア分散によるコミュニケーションロスが起きている

増床を重ねた結果、同じビル内の別フロアや近隣ビルに分散している企業も少なくありません。短期的には有効な対応策ですが、中長期では組織運営に影響が出ることがあります。

  • 部署間の雑談や偶発的な相談が減った
  • 情報共有がチャット中心になり、温度感が伝わりにくい
  • 別フロアへの移動が面倒で、打ち合わせ頻度が落ちている
  • 部門ごとの一体感が薄れやすい

成長フェーズの企業では、意思決定の速さや部門横断の連携が強みになります。そのため、ワンフロア化や拠点集約が可能かどうかは移転先選定の重要な視点です。

5現在の働き方にオフィスが合わなくなっている

ハイブリッドワークの普及により、オフィスの役割は「全員が同じ席で働く場所」から「集まり、対話し、成果を生む場所」へ変化しています。

  • Web会議ブースがなく、オンライン会議の場所に困る
  • 集中作業向けの静かなスペースが足りない
  • チームで集まる場と個人作業の場が分かれていない
  • 出社人数の波に座席配置が対応できていない

移転は、ABW(Activity Based Working)の考え方を取り入れたレイアウトに見直す機会でもあります。集中席・打ち合わせスペース・ラウンジ・ブース席などを適切に配置することで、働きやすさと運用効率の両立がしやすくなります。

オフィス移転は契約満了の何か月前から動くべきか

移転を成功させるうえで見落とされがちなのが「いつから動くべきか」というスケジュール感です。実務上は契約満了の6〜12か月前から検討を始める企業が多く、余裕を持って進めるなら12か月前が理想です。

オフィス移転の理想スケジュール(契約満了から逆算)

12か月前〜
現状整理・必要坪数の試算
課題の洗い出し、人員計画の確認、予算感の整理

9〜6か月前
エリア比較・物件探し・内見
候補エリアの絞り込み、内見・比較検討の開始

6〜4か月前
申込・条件交渉・レイアウト計画
物件の申込・交渉、内装会社の選定、レイアウト検討

4〜2か月前
内装工事・什器手配・引越し準備
工事着工、什器発注、社内周知・移転告知

1か月前〜入居
引越し・原状回復・運用開始
移転作業、旧オフィスの原状回復、新オフィス運用スタート

更新期限が近づいてから探し始めると、物件の選択肢が狭まり、条件交渉や内装計画も慌ただしくなりやすくなります。特に成長企業では、現時点の人数だけでなく、1年後の採用計画まで見込んだうえで動くことが重要です。

【チェックリスト】自社は移転を検討すべき段階か

以下の項目に1つでも当てはまる場合、移転や増床・レイアウト見直しの検討を始めるタイミングです。


  • 1人あたりの面積が2坪未満、または近いうちに下回りそう

  • 会議室が頻繁に埋まり、社内外の打ち合わせ場所に困っている

  • Web会議ブースや個室スペースが不足している

  • 増員により仮設席や無理な席配置が発生している

  • 別フロア・別拠点に分かれ、連携しづらくなっている

  • 採用面接でオフィス環境を気にされることがある

  • 契約更新まで6〜12か月以内に迫っている

  • 今後1年で増員予定があり、現オフィスでは吸収しきれない見込みがある

オフィス移転で失敗しないための3つの判断基準

移転を成功させるためには、「今狭いから探す」だけでは不十分です。現状の課題を整理したうえで、次のオフィスに何を求めるかを明確にすることが大切です。

01

今の課題を「面積」だけで判断しない

手狭さの原因が面積不足なのか、会議室不足なのか、レイアウトの問題なのかで必要な対策は変わります。何が本当の課題かを切り分けることが重要です。

02

現在の人数ではなく、1〜2年後の人員計画で考える

移転直後に再び手狭になるケースは珍しくありません。採用計画・組織再編の予定も踏まえ、将来の増員を見込んで必要面積を試算することが重要です。

03

賃料だけでなく総コストで比較する

月額賃料だけを見ると移転コスト全体を見誤りやすくなります。保証金・原状回復費・内装工事費・引越し費用・什器購入の有無なども含めて総額で比較することが必要です。

よくある質問(FAQ)

Qオフィス移転を検討するタイミングはいつですか?
一般的には契約満了の6〜12か月前から検討を始める企業が多いです。移転には物件選定・レイアウト設計・内装工事など複数の工程が必要なため、余裕を持ったスケジュールで進めることが重要です。人気エリアほど良い物件の動きが早いため、早めの情報収集が成功につながります。
Qオフィスの広さは1人あたりどれくらい必要ですか?
レイアウトや会議室数によって変わりますが、一般的な目安は次の通りです。
  • 2.5〜3坪:ゆとりがある
  • 2〜2.5坪:標準的
  • 2坪未満:手狭になりやすい
将来の増員計画を考慮して余裕を持った面積を確保することが重要です。
Qオフィス移転と増床はどちらが良いのでしょうか?
同じビル内に空室があり、レイアウト変更で対応できる場合は増床が有効なケースもあります。ただし、フロア分散が進むとコミュニケーションロスが生まれるため、ワンフロア化を目的に移転する企業も多くあります。両者のコストや運用面を総合的に比較して判断することが大切です。
Qオフィス移転でよくある失敗は何ですか?
よくある失敗は次の3つです。
  • 現在人数だけで面積を決めてしまう(移転後すぐに手狭になる)
  • 会議室数を十分に確保していない
  • 賃料だけで判断して総コストを見ていない
将来の人員計画や働き方も含めて検討することが重要です。
Qオフィス移転を成功させるポイントは何ですか?
成功のポイントは主に3点です。
  • 1〜2年後の人数を想定して面積・会議室数を決める
  • 現在の働き方(ハイブリッドワーク等)に合わせたレイアウトを検討する
  • 早めに物件情報を収集し、選択肢を広げておく
特に人気エリアでは空室の動きが早いため、余裕を持った検討スタートが成功の鍵になります。

まとめ

オフィス移転は、単なるコストではなく事業成長を支えるための環境整備です。会議室不足・執務スペースの圧迫・採用競争力の低下・組織分断・働き方とのズレ。こうしたサインが出ている場合、今のオフィスが企業の成長フェーズに合わなくなっている可能性があります。

特に人気エリアでは、条件の良い物件ほど動きが早く、完全に手狭になってから探し始めると選択肢が限られやすくなります。だからこそ移転の成否は「困ってから動く」よりも、「少し早めに準備する」ことで大きく変わります。

まずは現在のオフィスの面積・会議室数・今後の増員計画を整理し、自社に必要な条件を見える化することから始めてみてはいかがでしょうか。

矢冨 裕敏
矢冨 裕敏
この記事を書いた人
矢冨 裕敏
課長 / 不動産コンサルタント・アドバイザー
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者・敷金診断士

不動産業界16年のキャリアを持ち、宅建士・賃貸管理士・管理業務主任者・敷金診断士など8種の専門資格を保有。オフィスビルの収益改善・プロパティマネジメントから相続財産評価まで多角的な視点で不動産の価値最大化を支援。オフィサイトでは不動産コンサル・オーナー向け情報に関する記事の執筆・監修を担当。

不動産コンサルティングプロパティマネジメント収益改善
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