ハーフセットアップオフィスとは? フルセットアップとの違い・メリット・費用相場を徹底解説

「移転したいけど、内装工事に3〜6ヶ月も時間をかけられない」「初期費用が数千万円になるのは避けたい」——そんな企業の間で急速に広がっているのがハーフセットアップオフィスです。
ハーフセットアップとは、受付・会議室・間仕切りなどの内装インフラをオーナー側があらかじめ施工した状態で貸し出す賃貸オフィスのこと。当社の取り扱い実績ベースでは、スケルトンで必要な内装工事費(坪30〜80万円)をおおむね坪5〜20万円程度に抑えられており、50坪規模では入居までの期間が3〜6ヶ月から1〜4週間に短縮できるケースが多いです。
スタートアップから上場直前企業まで、「コスト・スピード・自由度」を同時に取りたい企業に選ばれています。本記事では定義・他形態との違い・費用・向き不向きまで、仲介現場の視点で解説します。
01ハーフセットアップオフィスとは?定義と特徴
定義
オーナー(貸主)があらかじめ内装の一部(受付・会議室・間仕切り・照明・空調など)を施工した状態で貸し出す賃貸オフィスのこと。「フルセットアップ」と「スケルトン(内装なし)」の中間に位置するハイブリッド型の物件形態。
02フルセットアップ・居抜き・スケルトンとの違い
ハーフセットアップを正確に理解するために、4つのオフィス形態を横並びで比較してみましょう。短期入居と費用圧縮を重視するならハーフセットアップ、完全自由設計ならスケルトン、即日スタートなら完全セットアップと、選択の軸を整理すると判断しやすくなります。
| 比較項目 |
スケルトン |
ハーフセットアップ |
フルセットアップ |
居抜き |
| 内装の状態 | なし(躯体のみ) | インフラのみ完備 | 家具・什器まで完備 | 前テナントのまま |
| 入居まで | 3〜6ヶ月 | 1〜4週間 | 数日〜1週間 | 2〜4週間 |
| 初期工事費(坪) | 30〜80万円 | 5〜20万円 | ほぼ0円 | 0〜30万円 |
| 賃料プレミアム | なし | +2,000〜3,000円 | +5,000円前後 | 相場並み |
| カスタマイズ性 | 最高 | 高(執務エリア) | 低 | 物件次第 |
| 原状回復費 | 高(全額) | 中(一部) | 低 | 条件次第 |
| 向いている規模 | 100坪〜 | 30〜200坪 | 〜50坪 | 30坪〜 |
💬 矢冨(宅地建物取引士)からのひとこと
「ハーフセットアップ」という名称は業界で統一されておらず、内覧してみると「会議室が1室だけ完成している」物件から「受付・ラウンジ・個室まで全て仕上がっている」物件まで、施工範囲に大きな差があります。私が案内する際は必ず「どこまでがオーナー施工か」を書面で確認するよう伝えています。特に会議室の数とサイズは後から変更できないため、採用面接・社内会議・顧客商談など用途別の必要数を先に整理してから物件を選ぶことを強くお勧めします。
⚠️ 居抜きが原状回復義務を「引き継ぐ」ケースに注意
居抜きオフィスは前テナントの原状回復義務をそのまま引き継ぐケースがあります。退去時のコストが想定外に膨らむリスクがあるため、契約前に必ず確認が必要です。ハーフセットアップはオーナー施工部分の原状回復は不要なため、その点では安心です。
03ハーフセットアップを選ぶ5つのメリット
1
初期投資を大幅削減
受付・会議室など最もコストのかかる部分が完成済み。50坪なら最大2,000万円以上の初期コスト削減も可能。浮いた資金を採用・事業成長へ充当できます。内装工事費は坪5〜20万円程度に抑えられるため、スケルトン(坪30〜80万円)と比べて圧倒的なコスト優位があります。
2
スピード移転の実現
通常3〜6ヶ月かかるオフィス移転が、1〜4週間で完了。成長企業が見逃せない機会損失を回避し、すぐにフルスイングできる環境を確保できます。採用活動中で「今すぐ良いオフィスが必要」な企業にも最適です。
3
自社ブランドの表現
執務エリアはテナントが家具・アートを自由に選べる。フルセットアップにはない「自社らしさ」を演出しつつ、コストは最適化できます。デスク・チェア・コラボレーションスペースなど、働き方に合わせたレイアウトが可能です。
4
採用ブランディングの強化
プロ設計の受付・会議室で求職者に高品質な第一印象を与えます。エージェント採用費1名分を考えれば、賃料プレミアムは十分に元が取れる投資です。競争が激しい採用市場でオフィス環境はそれ自体が差別化要因になります。
5
退去コストを最小化・次への身軽さ
オーナー施工の間仕切り・受付は解体不要。フルスケルトン工事後の原状回復費(坪5〜8万円)と工事期間中の二重賃料を大幅に削減。次のステージへ身軽に移行できます。
04注意すべきデメリットと対策
メリットが多いハーフセットアップですが、契約前に押さえておくべき注意点もあります。
⚠️ 実際によくある失敗——矢冨より
ご相談を受けてきた中で最も多い後悔は、「会議室の数・サイズが自社ニーズと合わなかった」というものです。ハーフセットアップのオーナー施工部分は基本的に変更できないため、採用面接・取締役会・顧客商談など用途別に必要な部屋数と収容人数をあらかじめ整理してから物件を見に行くことが大切です。「見た目がおしゃれだから」だけで決めてしまい、執務スペースの動線が非効率になって後悔するケースも少なくありません。
📊 賃料が割高
通常物件より坪2,000〜3,000円高くなるため、月次ランニングコストは上がります。
2〜5年スパンのトータルコストで比較。初期費用削減と相殺できるケースが多い。
🏗 間取り変更不可
オーナー施工の間仕切りや受付は基本的に変更不可。レイアウトの自由度が制限されます。
内覧時に自社の人員配置・動線イメージと照合。間取りの合致度を最優先で確認。
🔍 物件数が少ない
スケルトンと比べると選択肢が少なく、エリア・規模によっては希望物件が見つかりにくいことも。
セットアップオフィス専門の検索サイトや仲介会社を複数活用し、早めに情報収集する。
📝 原状回復の範囲
「全額不要」は誤解。壁紙・床材・照明クリーニングなど通常損耗の補修は必要な場合があります。
契約前に「オーナー施工範囲」と「原状回復範囲」を書面で明確にしておく。
05東京エリア別・規模別の費用相場【2026年3月時点】
2026年3月時点、国土交通省「建設工事費デフレーター」は132.6(2015年=100)まで上昇しており、内装工事費の高騰傾向は続いています。当社の取り扱い実績をもとにした目安として、ハーフセットアップの賃料相場は通常物件より坪2,000〜3,000円高い水準が多く、以下のエリア別データを参考にしてください。
東京主要エリアのハーフセットアップ賃料相場
| エリア |
坪単価目安(ハーフ) |
特徴・選ぶ企業 |
| スタートアップ集積地渋谷区 | 44,000〜49,000円 | デザイン性重視。採用競争力を高めるために選ぶ企業が多い |
| 金融・士業千代田区・大手町 | 42,000〜47,000円 | 信頼性・グレード重視。外資・金融系企業に人気 |
| バランス型港区・赤坂 | 40,000〜45,000円 | ブランド力と利便性のバランスが良い人気エリア |
| コスパ重視新宿区・品川区 | 35,000〜43,000円 | 都心アクセスとコストのバランス型。中規模企業に人気 |
| 大型物件その他23区内 | 28,000〜38,000円 | 大規模ビルの分割区画が増加。200坪超の物件も増加中 |
※2026年3月時点の市場動向に基づく目安です。実際の物件は個別条件により異なります。
初期費用(敷金・礼金・工事費)の目安
| 費用項目 |
ハーフセットアップ |
スケルトン(参考) |
| 敷金 | 6〜12ヶ月分 | 6〜12ヶ月分 |
| 礼金 | 0〜1ヶ月 | 0〜1ヶ月 |
| 仲介手数料 | 0〜1ヶ月 | 0〜1ヶ月 |
| 内装工事費(坪) | 5〜20万円 | 30〜80万円 |
| フリーレント | 1〜3ヶ月が多い | 2〜6ヶ月が多い |
| 退去時 原状回復 | 一部(インフラ除く) | 全額(高額) |
06トータルコストシミュレーション(50坪モデル)
「賃料が高い」という点だけで判断すると、実は損をするケースがあります。3年間のトータルコストで比較してみましょう。
▲ スケルトン → 自前施工(50坪 / 3年)
通常スケルトン
月額賃料(3年間)3,600万円
内装工事費+ 2,000万円
退去時 原状回復費+ 400万円
移転準備期間ロス+ 300万円
3年間 総コスト試算≈ 6,300万円
✦ ハーフセットアップ(50坪 / 3年)
ハーフセットアップ
月額賃料(坪+3千円×3年)3,924万円
追加工事・家具費+ 300万円
退去時 原状回復費+ 120万円
移転準備期間ロス0円
3年間 総コスト試算≈ 4,344万円
✅ 3年間で約2,000万円の差が生まれる可能性
※上記は試算例です。実際の物件条件・規模によって異なります。月額賃料はハーフセットアップの方が高くても、工事費・原状回復費・機会損失を合算すると、3年スパンではハーフセットアップの方が経済的に優位なケースが多いです。
07こんな企業に向いている・向いていない
✅ ハーフセットアップが向いている企業
✓従業員20〜200名規模で急成長中のスタートアップ・ベンチャー
✓入居まで1〜2ヶ月以内のスピード移転が必要
✓初期投資を抑え、採用・事業成長に資本を集中させたい
✓自社ブランドを表現しつつコストは最適化したい
✓2〜5年のミドルタームでの利用を予定している
✓採用面接の場として印象的なオフィスを持ちたい
❌ ハーフセットアップが向かない企業
✗10年以上の超長期入居で完全独自仕様にしたい(スケルトンが有利)
✗5名以下・10坪未満の超小規模(コワーキングの方が効率的)
✗工場・研究施設など特殊設備が大量に必要な業種
✗既存のオフィスとまったく同じレイアウトにこだわりたい
08よくある質問(FAQ)
ハーフセットアップオフィスとは何ですか?
オーナー(貸主)が受付・会議室・間仕切り・照明・空調などの内装インフラをあらかじめ施工した状態で貸し出す賃貸オフィスです。執務エリアはテナントが自由に設計でき、「フルセットアップ」と「スケルトン(内装なし)」の中間に位置するハイブリッド型の物件形態です。初期費用の削減とレイアウトの自由度を同時に実現できる点が最大の特徴です。
ハーフセットアップとフルセットアップ、どちらを選ぶべきですか?
2〜5年以上の利用を予定しており、自社ブランドを表現したい企業にはハーフセットアップが向いています。一方、6ヶ月〜1年程度の短期利用や、即日スタートしたい小規模チームにはフルセットアップが合理的です。「どのくらいの期間使うか」「自社らしさをどこまで出したいか」の2点を軸に判断するのがポイントです。
ハーフセットアップオフィスの初期費用はどのくらいかかりますか?
内装工事費の目安は坪5〜20万円程度で、スケルトン(坪30〜80万円)と比べて大幅に抑えられます。50坪の場合、最大2,000万円以上の初期コスト削減が可能なケースもあります。敷金・礼金・仲介手数料は通常の賃貸オフィスと同程度で、フリーレントが1〜3ヶ月付くケースも多いです。
賃料は通常のオフィスより高いのですか?
一般的に通常物件より坪2,000〜3,000円程度高くなる傾向があります。ただし内装工事費・原状回復費・移転期間中の機会損失を含めたトータルコストで比較すると、3年スパンではハーフセットアップの方が経済的に優位なケースが多いです。月額賃料だけでなく総コストで判断することをお勧めします。
原状回復費用はどこまで負担が必要ですか?
オーナー施工のインフラ部分(受付・間仕切り・空調など)は原状回復不要のケースがほとんどです。ただしテナントが追加した造作・壁紙・床材の損耗補修は必要になる場合があります。「原状回復不要」と謳われている物件でも特約条項で例外が設けられることがあるため、契約前に書面で範囲を明確化することを強く推奨します。
内覧時に確認すべき重要なポイントは何ですか?
①オーナー施工範囲の書面確認(どこまでが完成済みか)、②間仕切り・会議室の位置が自社の人員・動線に合うかの照合、③原状回復の範囲と費用負担の明確化、④フリーレント期間と入居可能日の確認、⑤光回線・電気容量などインフラスペックの確認、の5点を必ず行いましょう。特に①と③は後トラブルを防ぐために書面での取り交わしが重要です。
家具・什器はどこで調達すればよいですか?
オカムラ・イトーキ・コクヨなどのオフィス家具メーカーのほか、月額制のサブスクリプション家具サービスの利用も増えています。不動産会社が家具調達パートナーを紹介してくれるケースもあり、まとめて発注すれば費用も抑えやすいです。初期費用をさらに圧縮したい場合は、リースや認定中古什器の活用も有効な選択肢です。
📝 この記事のまとめ
01
コスト削減
初期費用を最大2,000万円削減。3年トータルでスケルトンより約2,000万円有利。
02
スピード移転
最短1〜4週間での入居が可能。機会損失を最小化。
03
バランス型
自由度とコストのベストバランス。20〜200名規模に最適。
- ハーフセットアップ=受付・会議室などインフラはオーナー施工済み、執務エリアはテナントが自由に設計できるハイブリッド型
- フルセットアップより自由度が高く、スケルトンより初期費用・時間を大幅削減できる
- 2〜5年スパンのトータルコストで見るとスケルトンより優位になるケースが多い
- 向いているのは20〜200名規模の成長企業・スタートアップ
- 2026年の東京都心は空室率2%台の争奪戦。早めの情報収集が鍵
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