最終更新日: 2026年03月24日

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空室が埋まらない
本当の原因と対策

市況のせいだけではありません。募集条件・写真・管理体制の複合要因が重なっています。オフィス・マンション別に原因を特定し、すぐに取り組める対策を実務視点で解説します。

読了目安:約9分 対象:不動産オーナー・賃貸経営者

「募集しているのに決まらない」「以前より明らかに空室期間が長い」——このような状況に直面しているオーナーは少なくありません。

空室の長期化は市況だけが原因ではなく、複数の要因が重なって発生しています。

原因を特定せずに賃料だけを下げても、根本的な解決にはならないケースが多くあります。本記事では空室が埋まらない原因を5つに整理し、すぐに取り組める対策を解説します。

Key Point 物件写真の改善で問い合わせ数が大きく改善した事例があります。対策は賃料調整だけではありません。
1

空室が埋まらない5つの原因

空室の長期化は、以下の5つの原因のいずれか、または複数が重なって発生することがほとんどです。まず自身の物件がどのパターンに当てはまるかを整理することが、対策の出発点になります。

1
募集条件が市場と合っていない

賃料・礼金・敷金が周辺相場と乖離していると、内見すら入らない状態になります。市場とのズレは空室長期化の最も大きな要因の一つです。フリーレントの有無も検討対象に含まれます。

2
物件の魅力が伝わっていない

写真の質や情報量が不足していると内見につながりません。写真の点数や質を重視して不動産会社を選ぶユーザーは多く、写真は「オンライン上の第一内見」としての役割を担っています。

3
募集戦略が弱い

掲載媒体が限定されている・仲介会社への情報共有が不足しているケースです。露出最大化には、エリア内の複数の仲介店舗に幅広く依頼を出すPM型の募集体制が有効とされています。

4
内見から成約につながらない

内見数はあるが決まらない場合、室内の清潔感・明るさ・条件交渉の柔軟性・案内対応の質に課題がある可能性があります。内見後の改善が行われていないケースが見られます。

5
管理会社の対応力不足

空室対策の提案がない・募集改善が行われない場合、管理会社側の体制に課題がある可能性があります。空室は「管理と募集の質」で大きく変わることが多くあります。

2

数字で見る|写真と設備の影響力

空室対策を検討する際、以下の数値は判断の参考になります。

改善事例あり 撮影技術の改善で問い合わせ数が大幅に増加した事例
写真を重視 物件探しで写真の質・点数を重視するユーザーが多い傾向
スマホが主流 スマートフォン経由で物件を閲覧するユーザーが中心
設備入居決定への影響備考
高速インターネット無料(1Gbps以上)単身者向け1位従来の「インターネット無料」は前提化。1Gbps以上が求められる傾向に
オートロックファミリー向け1位全国的な防犯意識の高まりが背景
宅配ボックス上位定着「あって当然」の設備として定着しつつある
エアコン単身・ファミリー共に1位なければ入居が決まらない設備。古いモデルは計画的な更新が有効
3

オフィスの空室対策

近年のオフィス市場では、「質の高い物件への需要集中(Flight to Quality)」という傾向が指摘されています。賃料を下げるより、物件の価値を正しく伝えることが成約への近道になる場合が多くあります。

リーシングマネジメント(LM)の考え方

オフィスのリーシングは単なる「仲介」ではなく、物件価値を最大化する戦略的誘致活動として捉えることが有効です。市場調査に基づいてターゲット(ペルソナ)を選定し、物件を一つの「経営ツール」として定義し直す視点が、空室改善につながる場合があります。

AIステージングの活用

空室のオフィスに家具を仮想配置する「AIオフィスステージング」は、コストパフォーマンスが高い手法の一つです。

  • 実物の家具配置と比べコストを大幅に抑えられる可能性がある
  • 比較的短時間で「入居後のビジョン」を可視化できる
  • Web集客でAIステージングにより反響を最大化し、実際の内見で成約を固めるハイブリッド型が広がりつつある

オフィス空室対策の実務ポイント

物件訴求の強化

  • テナントターゲットの明確化
  • セットアップ・居抜きのレイアウト提案
  • 設備・共用部の詳細な情報提供
  • 周辺エリアとの比較・優位性の提示
  • AIステージングで入居後をイメージ化

内見・成約率の向上

  • エントランス・共用部の清掃徹底
  • 照明点灯・採光の確保
  • 生活・業務メリットの具体的な訴求
  • 希少性を地域相場データで説明
  • 内見中にレイアウト相談・採寸を同行
💡
仲介店舗への働きかけも有効

仲介店舗の担当者が物件を優先的に紹介したくなる環境を整えることも対策の一つです。キーボックスの設置やWEBでの空室確認など内見までのプロセスの簡略化、市場環境に合わせた広告料(AD)の設定、定期的な関係構築などが挙げられます。

4

マンションの空室対策

マンションの空室対策は「条件と利便性」が決定要因になるケースが多くあります。設備の優先順位を把握した上で、投資対効果の高い改善から着手することが有効です。

入居決定につながる設備の優先順位

「家賃が高くても入居が決まる設備」として注目されているのは、高速インターネット(1Gbps以上)オートロックです。特に従来の「インターネット無料」は前提として定着しつつあり、速度のアップグレードが差別化になるケースがあります。

マンション空室対策の実務ポイント

条件の調整

  • 周辺相場との賃料比較・微調整
  • 礼金・敷金の見直し
  • フリーレント・キャンペーンの活用
  • 外国人入居者受け入れの検討(保証会社活用を前提に)

設備・環境の改善

  • 高速インターネット(1Gbps以上)の導入検討
  • エアコンの計画的な更新(故障前に)
  • 宅配ボックスの設置
  • ゴミ置き場・駐輪場の整理
  • 植栽・ライトアップによる外観改善
5

反響率を高める物件写真の技術

オンラインでの物件探しが標準となった現在、写真は「オンライン上の第一内見」としての役割を担っています。撮影技術の改善で問い合わせ数が大きく改善した事例があり、費用をかけずに取り組める対策の一つです。

外観撮影

斜め45度(7:3の比率)で立体感を出す

正面からではなく斜め45度から撮影することで建物に立体感が生まれます。青空を画面の2〜3割入れると印象が明るくなります。

室内撮影(構図)

対角線撮影+膝立ち(80〜100cm)

部屋の対角線を使った構図で空間を広く見せます。高さは80〜100cmの「膝立ち」で水平・垂直を保ちます。

設備撮影

収納は「開けて」撮影・設備は網羅する

収納は必ず開けた状態で撮影します。水回り(コンロ・シャワーヘッド等)のディテールも網羅してください。

スマホ最適化

1枚目は最も明るい写真・縦構図を活用

9割以上がスマホで閲覧するため、1枚目のサムネイルには最も明るい写真を選定します。設備写真は縦構図が有効です。

⚠️
内見時のイメージアップも忘れずに

写真で内見を獲得しても、実際の内見でマイナスポイントがあると成約につながりません。エントランス・廊下の清掃と電球切れのチェック、入室時の空気の入れ替え(封水の補充等)、照明の点灯とカーテンの開放など、内見前の準備も対策の一つです。

6

リフォーム利回りで投資判断する

「リフォームすべきか」の判断は感覚ではなく、「リフォーム利回り」という考え方で整理することが一つの方法です。単なる修繕ではなく、資産価値向上のための戦略的投資として位置づけることで、判断の根拠が明確になります。

リフォーム利回りの計算式

(年間賃料上昇分 または 下落抑制分)÷ リフォーム費用

計算例:15万円の工事で月額3,000円の賃料下落を抑制できた場合
年間3,000円×12か月 ÷ 150,000円 = リフォーム利回り24%
この数値が物件取得時の利回りを上回る場合、投資として合理的と判断できる目安になります。

📊
エアコンは「故障前の計画的な更新」が有効

古いエアコンは消費電力や騒音の面で敬遠されるケースがあります。故障してから交換すると繁忙期を逃す可能性があるため、計画的な更新が入居促進において効果的な場合があります。

7

すぐにできる空室対策4選

対策内容効果が出やすいケース
① 募集条件の見直し競合物件との比較を行い、賃料・初期費用を適正条件へ調整する内見が0〜1件/月の場合。条件が原因の可能性が高い
② 写真・情報の改善写真の差し替え・情報追加・掲載枚数の増加で内見率を向上させるポータルサイトの閲覧数はあるが内見につながらない場合
③ フリーレントの活用初期費用のハードルを下げ、検討対象に入りやすくする近隣の競合物件と条件がほぼ同じで差別化できていない場合
④ ターゲットの再設定想定している入居者層を見直し、需要とのズレを解消する内見はあるが特定の属性のみ断られるケースが続く場合
8

それでも改善しない場合の見直しポイント

条件の調整・写真の改善・フリーレントの導入など一通りの対策を実施しても空室が改善しない場合、以下の可能性を検討する価値があります。

  • 募集戦略そのものが不適切:掲載媒体が限定されている・仲介ネットワークが弱い・物件のターゲット設定自体がずれている可能性があります
  • 管理会社の提案力・募集力に課題:空室対策の提案がない・改善が行われない場合、管理会社側の体制を見直すことも選択肢の一つです
  • 物件自体の競争力を高める:設備更新やリフォームを「リフォーム利回り」で判断し、投資効果の高い改善から着手します
⚠️
「様子を見る」が最もリスクになるケースがあります

空室が3か月以上続いても原因分析や対策を講じない場合、機会損失が拡大していく可能性があります。賃料を下げるより先に、募集戦略・写真・管理体制の見直しを行うことで、賃料を維持したまま改善できるケースも少なくありません。

Q

よくある質問(FAQ)

空室が3か月以上続く場合、最初に見直すべきことは何ですか?

最初に見直すべきは「募集条件が市場と合っているか」です。賃料・礼金・敷金が周辺相場と乖離していると内見すら入らない状態になります。次に物件写真の質を確認してください。撮影技術の改善で問い合わせ数が大きく増加した事例があります。

オフィスの空室対策でAIステージングとは何ですか?

空室のオフィス写真に家具を仮想配置する技術です。実物の家具配置と比べコストを大幅に抑えやすく、比較的短時間で「入居後のイメージ」を可視化できます。Web集客でAIステージングにより反響を最大化し、実際の内見で成約を固めるハイブリッド型が広がりつつあります。

リフォームで空室対策をする場合、費用対効果はどう判断しますか?

「リフォーム利回り」で判断することが一つの目安です。計算式は(年間賃料上昇分または下落抑制分)÷ リフォーム費用です。例えば15万円の工事で月3,000円の賃料下落を抑制できれば、リフォーム利回りは24%になります。この数値が物件取得時の利回りを上回る場合、投資として合理的と判断できます。

物件写真で内見率を上げるために最も効果的な改善は何ですか?

最も効果的な改善は「明るさ」と「構図」です。室内は対角線撮影で空間を広く見せ、膝立ちの高さ(80〜100cm)で水平・垂直を保ちます。また9割以上のユーザーがスマホで閲覧するため、1枚目のサムネイルに最も明るい写真を配置することが重要です。

空室対策で管理会社を見直すべきタイミングはいつですか?

募集条件の調整・写真の改善・フリーレントの導入など一通りの対策を実施しても空室が改善しない場合、管理会社の募集力・仲介ネットワーク・提案力に課題がある可能性があります。空室が3か月以上続き、改善提案がない状態であれば見直しを検討するタイミングの一つです。

まとめ|空室は複合的な要因で発生する

空室が埋まらない原因は一つではなく、条件・募集・写真・管理の複合的な要因によって発生します。重要なのは原因を特定し、優先順位をつけて対策を講じることです。

原因別・最初に取り組む対策

  • 内見が少ない → 条件・賃料の見直し
  • 問い合わせが少ない → 写真・情報の改善
  • 内見後に決まらない → 内見環境・交渉力の改善
  • 全体的に停滞 → 管理会社の募集力を確認

費用をかけずにできる対策

  • 物件写真の撮り直し・枚数増加
  • 内見前の清掃・照明・採光の確認
  • 収納の整理・設備写真の網羅
  • 仲介担当者への物件情報の丁寧な共有
賃料を下げる前に試せる対策がある

写真の改善・内見環境の整備・仲介ネットワークの見直しは、賃料を下げずに反響・成約率を改善できる可能性があります。賃料調整は最後の手段として、まず費用をかけない対策から始めることをお勧めします。


こんなオーナーはご相談ください

  • 空室が3か月以上続いており、改善の糸口が見つからない
  • 写真や条件は見直したが、まだ内見が少ない
  • 管理会社から空室対策の提案がなく、見直しを検討している
  • オフィスビル・収益物件の空室率を改善したい
矢冨 裕敏 オフィサイト不動産コンサルタント
この記事を書いた人
矢冨 裕敏
課長 / 不動産コンサルタント・アドバイザー
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・管理業務主任者・敷金診断士

不動産業界16年のキャリアを持ち、宅建士・賃貸管理士・管理業務主任者・敷金診断士など8種の専門資格を保有。オフィスビルの収益改善・プロパティマネジメントから相続財産評価まで多角的な視点で不動産の価値最大化を支援。オフィサイトでは不動産コンサル・オーナー向け情報に関する記事の執筆・監修を担当。

不動産コンサルティング プロパティマネジメント 収益改善

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空室対策・募集戦略見直しのご相談は無料です

空室要因の分析から募集戦略の見直し・管理会社の選定・収益改善の提案まで対応しています。まずは現状の課題整理からお気軽にご相談ください。

※ 相談・診断はすべて無料です。最短翌日にご連絡いたします。

お急ぎの方はお電話ください:0120-194-392 (平日 9:00〜18:00)

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